福建省晋江市の人民裁判所で、男性である楊（Yang）さんを保護の対象とし、その妻である曽（Zeng）さんを加害者とする異例の「人身安全保護令」が下された。楊さんは結婚してからしばしば曽さんにののしられたり脅されたりしてけがをしたほか、勤務場所も荒らされたことに対するものである。
届け出人ある楊さんは、加害者の曽さんと夫婦の関係であり、楊さんによると、結婚してから自宅で曽さんからしばしば暴力をふるわれ、刃物でけがも負わされて、何度も警察に通報したという。また曽さんが工具などを使って楊さんの勤務場所のドアを何度も破壊するなど、暴力的行為を働いたことで、身の危険を感じたという。
晋江市人民裁判所は曽さんに対し、脅したり殴ったり、ののしったり噛みついたりするなどの暴力行為や、楊さんの勤務場所の一定範囲内で楊さんの仕事に支障が出るような行為を禁止すると命じた。男性に対する保護命令が下されたのは、同市では初めてのことである。
裁判官によると、人身保護命令とは「反家庭内暴力法」における制度の一種で、家庭内暴力の被害者を保護するものである。現実的には加害者はほぼ男性であるが、女性が暴力をふるうケースもある。「家庭の恥さらしはできない」として泣き寝入りする被害者もいるが、家庭は暴力をかくまう所ではなく、暴力行為はやはり法的な制裁や社会的監察を受ける必要がある。
（中国経済新聞）