三菱自動車、中国から撤退へ

2023/05/3 22:32

三菱自動車が、20年以上にわたり事業を展開してきた中国から撤退する。

この話を聞いてびっくりした。何年も前に、たくましい外観のオフロード車「パジェロ」が中国で、モダンでスポーティーなライフを牽引していたからである。

三菱自の中国撤退、その理由は何だろうか。

直接の理由は、2022年度に中国で巨額の損失を計上したからである。

2023年4月25日に三菱自が発表した2022年度の決算報告によると、中国市場での売上不振を受けて265億円(約13.5億元)の特別損失を計上している。

三菱自は2022年11月、中国でガソリンエンジンの新型オフロード車「アウトランダー」を投入した上、広州自動車集団との合弁で設立した広汽三菱自動車(湖南省長沙市)が現地生産を始めた。しかしこのころは市場が極度に低迷していた時期で、販売台数はゼロに近く、今年3月から長沙工場での生産を中止する事態になった。

三菱自のある幹部は、「中国市場からの撤退を検討せざるを得ない。3か月間の停産は撤退への第一歩だ」と述べている。

中国でかつて日系車のエース格であった三菱自であるが、このところ勢いが急降下している。中国での売上台数は2019年の12万3581台から2022年には3万1826台に落ち込み、さらに今年の第一四半期は前年同期比で57.95%ダウンの3969台であった。期待十分と見られたアウトランダーは1000台に満たない状態である。

2016年に中国に導入されたアウトランダーは、20万元という安値、4輪駆動、7人乗りとの触れ込みで一躍人気を集めた。しかし三菱自はその後の数年間、中国市場で新車を打ち出さず、ほぼアウトランダーの孤軍奮戦状態であったが、結局は新鮮味が薄れて販売が落ち込んだ。2021年に急遽、アウトランダーの4代目を、2022年には5代目を発表したが、もはや手遅れだった。

その理由は、中国ではここ2年ほどで国産EVのSUVが大きく流通し、ガソリンタイプのSUVはすでに淘汰されてしまったからである。

打撃を受けたのは三菱自だけではない。今年第一四半期の中国での売上を見ると、前年同期比でトヨタが14.5%減、日産が36.8%減、ホンダが37.7%減となっている。その理由はいずれもEVの発表が遅れてBYDや蔚来(NIO)、小鵬(Xiaopeng)、理想(Li Auto)などの国産勢にマーケットシェアを奪われたからである。

先ごろ行われた上海モーターショーで日系各社がこぞってEVを発表したが、そのほとんどは2024年の発売であって、今後1年間中国市場を維持できるか、あるいは中国メーカーからシェアを奪い返せるかは未知数である。

ホンダの三部敏宏社長は、「中国EVのソフトウェアシステムはわれわれの想像よりずっと上だったと認めざるを得ない」と述べている。

中国とアメリカは日本の自動車メーカーにとって単体での2大市場であり、世界の販売量における中国の占める割合は日産とホンダが3分の1、トヨタも20%以上に達している。しかし三菱自はすでに4%に下がっており、同社にとって中国市場は意味の薄い存在になっている。

三菱自が最近発表した中期経営計画(2023-2025年)によると、今後の投資の重点は東南アジア、中東、中南米、アフリカであるという。

三菱自の中国撤退、もはやカウントダウンが始まっている。

(中国経済新聞)