中国、新任の秦剛外相が日中関係に対し4点の意見を発表

2023/03/7 20:53

全人代が開催されている中国で3月7日、外務省報道官の経験を持つ新任の秦剛外相が初めての記者会見を行い、日中関係も含めて国内外の記者からの様々な質問に答えた。

NHK記者:今年は「日中平和友好条約」の締結45周年である。去年11月に両国首脳が会談した際、岸田文雄首相が「双方の首脳は両国関係の発展へ緊密に意思疎通をすべきだ」と述べた。現在は政治、経済、安全保障などで双方の立場に鮮明な違いがあり、対面での外相会談も実現していない。中国の新たな指導部は、どのような日中関係を築くつもりか?

秦外相:中日両国は一衣帯水であり、新時代で関係を築くにあたり以下の何点かをすべきと見る。

秦剛外相

まずは信用を守ることだ。45年前に「中日平和友好条約」を締結し、初めて法律の形で中日関係の原則や方向性を確認した。この条約は,ほか3件の両国間の政治文書とともに、中日関係の政治的基盤となり、とりわけ「互いにパートナーであり、互いに脅威とはならない」という重要な合意は厳しく守るべきで、言ったからにはやるべきだ。  

二つ目は歴史をかがみとすることだ。かつて日本の軍国主義で中華民族は深く傷つき、いまだに痛みを感じている。中国人民は忘れることはなく、日本も忘れるべきでない。歴史を忘れることは裏切りを意味し、犯した罪の責任の否定は再犯を意味する。中国人民は常に善意をもって日本と付き合い、善隣友好を望んでいる。ただし日本で、隣国をパートナーとせず自己中心的となり、中国を締め付ける新たな冷戦に加わる人がいれば、両国間の古傷が癒えないまま新たな痛みが生じることになる。  

三つ目は、秩序を守ることだ。今、日本の指導部の一部でいわゆる秩序などと言うが、なら今はわれわれがその秩序とは何か言ってみよう。今の国際秩序は反ファシスト戦争の勝利の上で築かれ、3500万の中国軍人や国民の命や血と引き換えて得たものだ。戦後の国際秩序や国際的正義に挑戦するあらゆる歴史修正主義は、中国国民は決して応じない。「中日平和友好条約」には覇権主義に反対すると明記されており、条約の精神は今、現実的意義を持つ。  

四つ目は、ウィンウィンである。中日両国は長所・短所を補い合うべきだ。われわれは市場の原則や自由で開かれた精神を堅持し、連携を強化し、安定しスムーズな産業チェーンやサプライチェーンを維持し、グローバル経済の回復にエネルギーや活力を注ぐべきだ。  

最後にもう一つ言わなくてはならない。日本政府が福島の原発汚染水を海に流すと決定した。これは日本だけの件ではなく、海洋環境や人類の健康に関わる大事である。日本側に対し、責任ある形でこの問題を処理するよう求める。

(中国経済新聞編集長 徐 静波 北京より)