2023年、中国の新エネ車業界は波乱含みである。値上げを敢行していたBYDが、マーケットシェアの安定や一段高い売上目標の達成を狙い、今年初の値下げに踏み切った。「利益確保」か「シェア安定」か、行動で結論を示したわけである。
北京にあるBYDのディーラー店は、社内発表の正式な価格改定通知をたった今受けたと言った。値下げ対象品は王朝シリーズを中心に各車種に及んでいる。
また、上海のセールスによると、エコカー補助金が廃止されたことで「唐」、「漢DM-I」、「DM-p」の各車種を大幅値下げする。ただ、ハイブリッド系が1.2万元-1.6万元(約23万円~31万円)安くなる一方で、EVは据え置きという。
浙江省杭州のディーラーは、EVを1万元(約19万円)ほど値下げすると述べた。ただし「DM-i」や「DM-p」は値下げ幅を6000元(約11万円)程度に抑えるという。
ところがBYDは2月27日、「経営状態は安定しており、一部地域でディーラーのキャンペーンとして値下げしてはいるが、会社としては値下げは考えていない」と表明した。
BYDが今年初の値下げに踏み切ったのは、他社との競争やコスト面が理由と見られる。
BYDの値下げとほぼ同じ時期に、長城がPHEVの「ハヴァルH6」の期間限定値引きを発表したほか、極氪(ZEEKR)001も実質値下げすると伝えられた。
コスト面については、去年11月に過去最高の60万元/トン(約1200万円/トン)近くに達した車載電池の原材料である工業用炭酸リチウムが、今年2月24日には39.4万元/トン(約771万円/トン)と、率にして34.33%も値下がりした。車載電池はEVの製造コストの40%ないし70%を占めるものである。
中国乗用車産業連盟の張秀陽事務局長は、「電池メーカーが値引きや減産をしたことで新エネ車メーカーも相次ぎ値下げし、市場全体で模様眺め状態となっている。中国自動車界は今年、新エネ車だけでなく全体的に値下げムードが広まるのではないか」と見ている。
(中国経済新聞)