中国で、期待されていたファイザー製の新型コロナウイルス治療用飲み薬であるPaxlovidについて、医療保険に関する交渉が決裂し、2022年の保険対象品とはならなくなった。
これについて国家医療保険局は1月8日、製造元であるファイザー投資有限公司の提示額が高価であったことを理由に挙げている。
コロナ用の飲み薬に詳しい業界関係者はこの件について、①Paxlovidは品不足なので間違いなく売れる、②ファイザーがグローバル価格体系を崩したくない、③Paxlovidは治療効果が十分で目下一番人気の薬であり、値下げしなくても必要としている層でかなりの需要が見込める、との推測を立てている。
中国側当局は今回の交渉の前に、一部の地方でPaxlovidを暫定的に保険対象とし、売り値を1箱2300元(約45000円)から1890元(約37000円)に引き下げていたが、この措置は今年3月31日までとされている。すなわち4月以降にPaxlovidを服用する場合はすべて自費扱いとなる。1箱2000元(4万円)はなかなか手の出にくい値段である。
この関係者は、Paxlovidが保険対象とならなかったことで、同類の薬の開発をしている中国の各社が逆に市場獲得の大きなチャンスを迎えたと述べている。
中国でも多くの製薬会社がコロナ用の飲み薬の開発に取り組んでおり、中でも先声薬業が中国科学院上海薬物研究所や武漢ウイルス研究所と共同開発している3CLをターゲットにした「SIM0417」が最も有望となっている。
この関係者によると、国産の3CL飲み薬は価格面でかなり優位に立てるとのことである。
(中国経済新聞)