中国の自動車メーカー・小鵬汽車(Xiaopeng)は、11月30日に発表した2022年第三四半期の監査前決算および直近2か月の業績から、年初に設定した年間販売目標の達成がほぼ不可能となった。第三四半期の販売台数は29570台で、1台売るごとに8.05万元(約157万円)の赤字を計上した。また第二四半期は販売34422台で、同じく1台につき7.84万元(約153万円)の赤字であった。こうした数字を見ても、この第三四半期は赤字幅を「縮小」できなかった。
自動車の新勢力と言われる「蔚小理」(蔚来=NIO、小鵬、理想=Li Auto)の中で2021年の販売台数がトップだった小鵬は、2022年の目標を「25万台確保、あわよくば30万台」としていた。
ところが11月までの台数が109465台で、25万台に到達するには12月の1か月で14万台をさばく必要があり、目標達成はほぼ絶望的である。
また特筆すべき内容として、中国の財政相が2022年1月に各政府部門と共同発表した「2022年の新エネ車普及に向けた補助金政策の通達」によると、2022年は新エネ車購入時に支給する補助金額が去年より30%減額されている。また支給対象期間も2022年12月31日までで、それ以降に登録した車は対象外となる。
これについて小鵬は11月30日、12月31日24時までに前金を支払えば補助金の支給対象となると発表した。また登録日のずれにより対象外となった場合は、その差額分を支給するという。
江西省にある新能源科技職業学院新エネ車技術研究院の張翔院長は、現在の状況から補助金の廃止で一番損をするのは小鵬であると見ている。小鵬の車種はみな20~30万元(約380万至580万円)で、補助金の減額分は1.26万元(約24.5万円)であり、かなりの影響を受ける。小鵬は今後値上げに踏み切ると見られ、競争力も低下する。
小鵬のこうした苦境について、広科諮詢のアナリストである瀋萌氏は、「各メーカーとも、補助金が廃止されても消費需要を維持するため収益の一部を犠牲にして売値を補助金支給時とほぼ同じ程度に下げざるを得ない。需要が落ち込んだら成長の望みも薄れてしまう」と述べている。
(中国経済新聞)