アメリカの自動車メーカー・フォードは8月、アメリカでの電気自動車(EV)の販売台数がテスラに次ぐ2位であった。中でもMustang Mach-Eは前年を115%上回る3120台が売れ、受注量も過去最高となる7800台以上であった。フォードはまた、EVトラックのシェアが90%でほぼ独占状態となっている。
ただし中国では、MACH-Eの販売台数はここ数か月400台~800台で推移し、店舗の開設もあまり進んでいない。フォードのEVは、600万台にも達すると見られる新エネ車の巨大市場である中国では売行きも評価もさしたるものではない。
Mustangについてフォードは、過去60年に渡り製造されているレジェンド的な存在でアメリカでも有名であることから、中国でもかなりの知名度があると考えていたが、それは思い違いであった。最近行われた発表会でフォードEV事業部の関係者は、米中両国でこうした開きがあることから中国戦略を見直し始めている、とはっきり言った。
中国は新エネ車について世界最激戦区であり、ブランドや車種がかなりの数にのぼるほか、製品や技術の更新、利用者の権益などサービス面でも競争の激しさが現れている。新エネ車メーカーの「Zeekr(ジーカー)」は口コミ奪回に向けて、8月1日から3億元(約61.8億円)をかけて購入済み車両に対しクアルコムのチップ8155の無償更新サービスを始めている。
ある外資系自動車メーカーの幹部は、「これまでの燃料車はほぼ『売ったらそこまで』であり、のちのサービスは全部ディーラーに任せていた。EVではお客との関係を維持しなくてはいけない。外資系メーカーも気づいてはいるが、考えや行動がまだ追いついていない」と述べている。
フォードも最近、得意客を相手にクアルコムのチップ8155の更新サービスを始めた。設備や付帯ソフトウェアを改良するのは社内でもかなり問題になったとのことであるが、それらを乗り越えて打ち出した策であり、中国市場を改めて見直し、軌道修正しようとの決断も伺える。
(中国経済新聞)