四川大地震で24歳の女性大学院生が犠牲に

2022/09/9 19:45

四川省瀘定県で起きた地震は、私たちが考えていた以上に深刻なものだった。

この2日間で、死者の数は7人、21人、30人、46人と増え続けており、現在74人の死亡が確認され、35人が行方不明となっている。その中には、中国科学院の女性大学院生も含まれている。

 震源地にある生態観測所は大きな被害を受け、中国科学院の大学院生である24歳のルース(如斯)さんは守る術もなく亡くなってしまった。

地震が発生したのは昼休みで、多くの先生や生徒が食事に出かけていた。サンプルの整理をしていたルースさんは、自炊をしたいと思い外出を控えた。

その時、地震が起きた。

地面は激しく揺れ、3階建ての小さな建物である観測所は、3階がそのまま2階に落下し1階はぺしゃんこになって垂直に倒壊した。2階と3階にいた先生や生徒たちは、窓から飛び出して逃げ出せたが、1階にいたルースさんは、そのまま瓦礫に押しつぶされた。7時間が経過した頃、ようやく彼女は救出されたが、すでに息絶えていた。

ルースさんは甘粛省慶陽市の出身で、貧しい農村の家庭で育った。両親はともに50代で、3人の子供と80代の祖父を日雇い労働で養っており、いつか両親に楽をさせたいという思いから、ルースさんは勉学に励んできた。

彼女は、県内の小さな町から西北師範大学に合格し、卒業後、中国科学院の修士課程に進んだ。彼女の研究への思いは途切れることなく博士課程への進学を目指し、毎日遅くまで勉強を続け、夜中でも休むことなく論文を読んでいた。

ルースさんの妹は「姉は忍耐強く、分別があり、私が家族と衝突したときには、いつも必ず姉が仲裁に入ってくれた」と話し、続けて「あの日、地震の1時間前に姉と電話で話した時、前の晩に悪い夢を見たと告げられた。ただ、その時とても忙しく、姉の言葉を気にかけることもなく、深く考えない方が良いよとだけアドバイスした。まさか電話を切ったすぐ後に、地震が起こるなんて。姉が突然いなくなってしまうなんて」と涙ながらに話した。

貧困と苦難の時を経て、輝くような美しい人生を歩むはずだったルースさん。

彼女には明るい未来が待っているはずだった。なのに、トンネルから出る直前に、彼女は永遠に暗闇に引きずり込まれてしまった。

運命は、なんと無慈悲なのだろう。

明日と災難、どちらが先に来るのか私たちにはわからない。だから、せめて一日一日を大切にしながら生きていこう。ルースさんの冥福を祈りながら、自分の人生について少し立ち止まって考えてみようと思った。

(中国経済新聞)