中国の保険大手・中国人寿保険は8月12日夜、アメリカのニューヨーク証券取引所からの上場廃止を申請し、現地の証券取引法における株の登録を廃止すると発表した。最終取引日は2022年9月1日かその後になると見られ、それ以降は上場も取引も消滅する。また、2022年1月1日から7月31日までの保険料収入はおよそ4696億元(会計監査前、約9兆3120億円)であるとも発表した。
この後、国有企業である中国石油化工(シノペック)、中国石油(ペトロチャイナ)、中国アルミも同じくニューヨーク上場廃止を発表している。
シノペックは、2022年8月29日前後に現地証取委へ上場廃止申請をする予定と発表しており、その10日後に発効する見込みである。またペトロチャイナは、2022年9月8日ごろが最終取引日となりそうである。
中国アルミもニューヨーク上場廃止予定で、証取法における登録を廃止し情報開示責任も終了するという。
さらに上海石油化工も、ニューヨーク上場を廃止予定と発表した。
中国企業の相次ぐアメリカ上場廃止の背景には、アメリカの金融市場との関係を断ち切って経済の柱である国有大手の情報の開示を交わそうという中国政府の意図がうかがえる。先ごろは中国最大の配車アプリであるディディが、アメリカで上場した故に国の重要な機密情報を現地に開示したとの指摘を受け、上場を廃止するに至っている。
アメリカはトランプ政権だった2020年末に、中国の大手組織や持ち株会社への投資を禁止する法案が成立し、2021年1月11日から実行されている。その後、時価600億ドルの中国国有会社「中国海洋石油」がニューヨークの上場廃止を余儀なくされるなど、情報開示に問題があるとして中国の上場会社が相次ぎ取引停止に見舞われている。
(中国経済新聞)