中国の求人サイトでこのところ、「4月1日以降に感染した人は応募不可」、「臨時病院の滞在経験がない人」といった情報が出ている。
大手食品通販サイトの上海地区の人事担当者は、「過去3か月間に陽性反応を受けた人は採用しない」ときっぱり述べた。コロナ感染者に対する処遇が大変だから、といった理由である。
この担当者は、「過去に陽性だった人が、店で商品を仕分けし、それが配送係に渡ってお客に配達される。毎日大量の注文品を扱う。再び陽性となる可能性は低いけれど、もしそうなったら誰がその責任をとるのか」と話している。
とりわけ物流会社では、同じように回復後に再び陽性となることについて懸念感を示す人が後を絶たず、このためたとえ回復していても陽性経験者は不採用としている。「一万は怖くない、万一が怖い」、「仕分けや配達員は膨大な商品を扱うので、感染者の洗い出しが大変になる」、「うちの店は1日の売上が20~30万元なので、(陽性が)再発でもされたらとても負担できない」というのである。
上海市で7月11日に実施されたコロナ対策に関する記者会見で、地元政府の広報担当の尹シン氏は、「各機関や企業などは、法律や基準に従って、新型コロナから回復した人も同じように対応し、差別をしてはならない」と表明した。
企業サイドは、陽性経験者へのこうした差別に同情を示しつつも、「感染歴のある者はお断り」という対応はしかるべきであり、企業や社員に対する一種の「責任」だ、と見なしている。
経済の下押しが深刻で1000万人以上の大学新卒者が就職難にあえいでいる中、感染経験者をつまはじきにするのはあからさまな差別であり、痛む心の傷に塩を塗るような結果を招いてしまう。
(中国経済新聞)