中国の航空大手3社である中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空は7月1日、エアバスの航空機292機を購入すると発表した。エアバスにとって過去最大となる受注であり、これにより中国市場で確固たる地位を築くことになる。
一方で、この影響をまともに受けるアメリカのボーイングは1日、「中国と50年にわたる関係があるアメリカ最大の輸出会社として、地政学的な違いでアメリカ航空機の輸出が規制されているのは残念だ」と発表している。
さらにボーイングは、注文や納付を早期に回復させるため、米中両国の政府に対し「実りのある対話」を続けるよう働きかけていくとも述べた。「中国への航空機販売により、アメリカ人の雇用を万単位で確保している」との理由を添えている。
中国東方航空、中国国際航空、中国南方航空の3社は7月1日、エアバスの航空機「A320NEO」を計292機購入すると発表した。内訳は南方航空が100機、東方航空と国際航空がともに96機で、2024年から2027年にかけて納入し、金額は合計で372.57億ドル(約5兆375億円)となる。
また、これら3社は今年5月、納期が確約できないとして100機以上に及ぶボーイング737 MAXの購入計画を中止している。中国では、エアバスとそのライバルであるアメリカのボーイングがかねてから市場争いをしており、業務拡大に努めていた。しかし、ボーイングはMAXが飛行停止となったことで、旅客機の発注数も市場シェアもエアバスに大きく水をあけられている。
中国の航空会社はこれまで、影響力を維持するためにこれら国際航空の「ツートップ」とバランスよく取引をしてきたが、今回エアバスから一気に300機近くを購入することで、そのバランスが崩れることになる。
これについて、中国民航大学航空経済研究所の李暁津所長は、「3社がまとめて購入することで、かなりのコストダウンが見込めるほか、この時期にボーイングを購入すると、経済面以外のリスクに見舞われる恐れがある」と述べた。エアバスからの購入は、航空業界の成長を確保する上で必要な措施であるという。
(中国経済新聞)