中国、今年の夏はインバウンド・アウトバウンドともに好調

2026/09/5 08:30

中国は2026年の夏、インバウンド・アウトバウンドともに好調であった。ビザ免除策の拡大や海外の猛暑などの影響で、「避暑+テクノロジー体験」を味わう外国人観光客が増えた一方、家族での旅行や遠方を目指す人たちが増えて海外旅行需要も引き続き伸びていった。こうした中、旅行会社も工夫を凝らしており、急速に移り変わる消費ニーズに対応するため、これまでのように規模の拡大にこだわらず、きめの細かい営業策を打ち出している。

インバウンドについて中国はこの夏、「China Cool」(中国は素晴らしく涼しい)というハッシュタグが象徴的存在となった。「700年以上の歴史を誇る道を歩くのも乙なもの。ここは温度差が8℃の『避暑の秘境』だと説明する動画を以前に見ており、浙江省を旅する中での味わい体験だ。地図を見ると、3つの古い村が15キロメートルほどの道で結ばれており、現地の風情をじかに感じられる。この道はずっと木陰や水路が続いており、それほど暑くない」という。イタリアから観光で訪れたというアンディさん(仮名)は、噂を聞いて浙江省桐瀘をたずね、馬嶺で小道を歩いた。中国に来たのは今回が2回目という。

高原で気候の涼しい雲南省も、この夏は海外から大勢の観光客が足を運んだ。昆明の出入国検査所によると、夏季輸送体制が始まって訪れた外国人のうち、56.2%は避暑が目的だったという。また北京の入国検査所によると、今年の出入国者数は去年より20日早く8月25日にのべ1500万人に到達し、この中でビザ免除策の利用や乗り継ぎ特別許可での入国者が全体の74.5%であった。

旅行会社を総じて見ると、この夏の外国人観光客はビザ免除策の影響で出身地がかなり分散していた。航空関連アプリ「航旅縦横」のビッグデータによると、ソウル、バンコク、シンガポール、クアラルンプール、ロンドンなどからの渡航者が多く、うち7月1日から8月25日はヨーロッパから渡航者が去年の同じ時期より25%以上も増え、航空便による入国者全体の20%以上を占めた。トリップドットコムの最新データでもこうした傾向が見え、ヨーロッパ全体における中国便(香港、マカオ、台湾を除く)の利用数は前年比で275%増加し、観光チケットなどの予約も20倍以上であった。それらの利用者の出身地を見ると、いずれもこれまで少なかったブラジルが358.52%増、スイスが234.73%増、スペインが233.12%増となっている。

このように様々な国から観光客が訪れたことで、桐瀘、延辺、迪慶といった「小都市」にも足を運ぶ人が増えた。トリップドットコムのある事業責任者は、「都市別に見た夏場の外国人訪問者数上位30か所で、延辺と迪慶が今年初めてランクインした。民族や文化、エコロジーなどを満喫する旅行プランに対する外国人の興味が高まっていることの表れであり、特色があり多様な場所へと足を運ぶ傾向が見えている」と述べている。

またさらに、中国を訪れるにあたり、従来の観光地行きから中身を味わう形に変わっており、記念日・催し・見本市・スポーツ大会が「新たな入り口」となっている。トリップドットコムの海外版によると、中国訪問者におけるこれら4分野での消費額の前年比増加率は、消費額全体の伸びの2倍以上となる64%であった。催し物目的での訪問者の出身地は37地域から81地域に増え、そのためにわざわざ訪中した人は約80%であった。年齢別に見ると、25歳~29歳が今回初めて最も多くなり、24.8%であった。

北京第二外国語学院中国文化・旅行産業研究院の呉麗雲教授は、「『ソフト輸出』の大切な担い手であるインバウンドは、ダイレクトに消費を押し上げるほか、サービス貿易の赤字分を縮小し貿易構造を改善する大切な手段となっている」と述べる。

この夏はまた一方で、中国から海外へ行く人の数も引き続き多かった。旅行会社の去哪儿(Qunar)によると、8月26日時点で、航空券予約数の伸び幅が大きい場所は順にブラジルのリオデジャネイロ、ジョージアのバトゥミ、カザフスタンのアクタウ、韓国のテグ、インドのムンバイであった。また同じく旅行会社の同程旅行(LY.com)によると、定番の旅行先である韓国や東南アジアが引き続き堅調な伸びを示しているほか、7月から8月はブラジル、トルコ、タジキスタン、タンザニアなど遠方の国への予約数が70%以上伸びている。

海外旅行者の内訳を見ると、夏休みはやはり家族での行楽が最も多くなっている。広之旅によると、親としては「旅への満足感」や「教育的」な部分にお金を使いたいと考え、「子供連れで世界を見る」から「世界とともに成長」という消費へと変化している。また家族旅行では、旅行代金を抑えるために「諸費用込み」というプランが人気である。また、地方の小都市でも海外旅行者が増えつつある。

中国は今、中秋節や国慶節の連休中における遠方の国への旅行の予約ラッシュを迎えている。春秋国際旅行社では、これらの期間中における旅行受付分のうち海外行きの割合が50%以上となっており、ヨーロッパ方面はほぼすでに完売で、遠方であるタヒチ、バンクーバー、アテネなどに人気が集まっている。

インバウンド・アウトバウンドともに好調となっている中、各旅行会社はプランの打ち出し改善や営業方法の見直しをはかり、マーケットの急速な変化に対応している。春秋グループの王煒社長は現在の業界動向について、「汎用的なメリットはもうなくなり、以前のように情報の不一致や安価な共同ツアー、単なる資源の転売に頼るような大雑把な営業モデルは新しい時代の消費ニーズに合わなくなっている」と見ている。「今後の成長を考えるなら、時期や対象別に合わせた営業や状況設定を見据えることだ。2026年の夏・秋における変化で、旅行はもはや全土一体の大衆市場ではなく、時期や人、場面ごとに異なる市場であることが鮮明に分かった」と述べる。

旅行会社・衆信旅游(U-tour)の広報課長である李夢然氏は、「夏休みの旅行で視野を広げ、世界をよく知りたいという人が増えている。当社もテクノロジーツアーやテーマ満喫ルートなど、きめ細かいプランの打ち出しといった改善に努めており、インバウンド・アウトバウンドともに掘り起こしをしている」と述べている。また中青旅(Cyts)も、「新たな目的地やルートの差別化を引き続き見据え、より多彩で個性的な旅行ニーズを満たしていく。また、小人数ツアーや満喫型旅行、テーマツアーなど、品質のあるプランの打ち出しにも努めていく」と表明している。

(中国経済新聞)