「漢服の街」曹県が沸騰!売上130億元、伝統衣装からロボット服まで広がる新経済

2026/09/2 08:30

中国・山東省菏沢市の曹県で、「漢服新経済」が勢いを増している。中国の伝統衣装「漢服」の一大生産地として知られる曹県は、成熟した産業チェーンと柔軟な生産能力を武器に、子ども向け衣装や民族衣装、さらには人型ロボット向け衣装など、新たな分野へと事業領域を広げている。

2025年、曹県の漢服販売額は130億元(約2,600億円)に達し、中国国内市場の約半分を占めた。現在、同県には漢服関連企業が2,822社、ネットショップが1万5,627店、漢服の実店舗型体験店が224店あり、関連産業の従業者は約10万人に上る。

曹県では、漢服の企画・研究開発やデザインから、裁断・型紙制作、刺繍・プリント、ネット販売、ライブコマース、アフターサービスまで、幅広い工程を地域内で担うことができる。こうした分業体制が、漢服産業を支える強固なサプライチェーンを形成している。

特に近年注目されているのが、インターネットを活用した販売だ。現地ではライブ配信を通じて漢服を紹介・販売する取り組みが活発で、伝統的な衣装と電子商取引を組み合わせることで、新たな消費市場を開拓している。

さらに曹県は、漢服で培った生産・設計能力を他分野へ応用し始めている。子ども向けの小型衣装「娃衣」や民族衣装などに加え、人型ロボットの衣装といった新しい市場にも進出。伝統衣装を起点に、ファッション、ネット通販、テクノロジーを融合させようとしている。

背景にあるのは、少量多品種の注文にも対応できる「柔軟な製造能力」だ。流行や消費者のニーズが変化しても、地域内に蓄積されたデザイン、生地加工、刺繍、縫製などの技術を組み合わせ、比較的迅速に新商品を生み出せる点が強みとなっている。

曹県の事例は、伝統産業を単に保存するのではなく、デジタル経済や新技術と結び付けることで、新たな産業へ発展させる可能性を示している。

「伝統とトレンド」「衣装とテクノロジー」――。

漢服から始まった曹県の産業は、いまや服飾の枠を越えつつある。地域に蓄積された製造力と電子商取引の力を背景に、曹県は県域経済の持続的な高度化に向け、新たな成長の道を切り開いている。

(中国経済新聞)