アリババ、AI投資を加速 純利益76%減もクラウド事業は45%成長

2026/08/21 17:30

中国IT大手のアリババグループが8月20日に発表した2027会計年度第1四半期(2026年4~6月)の決算で、売上高は前年同期比9%増の2689億5300万元(約6兆3200億円)となった一方、AI(人工知能)関連のインフラ投資拡大などを背景に利益が大きく落ち込んだ。

営業利益は前年同期比57%減の151億6100万元(約3560億円)、普通株主に帰属する純利益は76%減の105億3700万元(約2480億円)となった。営業利益率も前年同期の14%から6%に低下した。

一方、AI関連への巨額投資は続いている。当四半期の設備投資額は676億7800万元(約1兆5900億円)と前年同期比75%増加。これに伴い、フリーキャッシュフローは446億7000万元(約1兆500億円)の流出となり、前年同期の約2.4倍に拡大した。

アリババは2025年2月、今後3年間で3800億元(約8兆9300億円)をAIインフラに投資する計画を発表している。呉泳銘(ウー・ヨンミン)CEOによると、今年6月末までに約1900億元(約4兆4700億円)をすでに投じたという。

呉CEOは決算説明会で、今回の設備投資が膨らんだ主な理由について、ハードウエアの納入時期が前倒しになったことや、CPUの調達を前倒ししたこと、さらに半導体部品の価格上昇などを挙げた。一方で、AI向け計算資源への設備投資については高い確実性があるとの見方を示し、投資は3年以内に回収できると説明。AI関連製品の粗利益率が向上すれば、回収期間は2年半、さらには2年程度まで短縮する可能性があるとしている。

今回の決算では、事業区分の見直しも行われた。アリババは初めて新たなセグメント構成で業績を開示し、中国電子商取引、国際デジタルコマース、盒馬(フーマ)を「アリババ・エコシステム・コマース・グループ」として統合。一方、クラウド事業と半導体子会社の平頭哥(T-Head)を「AIクラウド・コンピューティングサービス」にまとめ、これまで「その他」に含まれていたAIモデル研究部門や「通義(Qwen)」の一般消費者向け事業、オフィス向け事業などを「AIラボ・アプリケーション」として独立させた。

呉CEOは「AIはアリババにとって最も確実性の高い成長エンジンになっている」と強調し、AIを中核とした長期的な成長を目指す姿勢を示した。

電子商取引は伸び悩み、即時配送が成長をけん引

新たに編成されたアリババのコマース事業は、当四半期の売上高が2058億6200万元(約4兆8400億円)で、前年同期比4%増にとどまった。調整後EBITAは397億4900万元(約9340億円)と、前年同期比1%減少した。

その中で成長をけん引したのが、淘宝閃購(タオバオ・シャングー)や盒馬を中心とする即時小売事業だ。同事業の売上高は532億9500万元(約1兆2500億円)と、前年同期比45%増加した。

従来型の電子商取引市場で成長が鈍化するなか、アリババは即時小売を新たな成長の柱と位置付けている。今後は規模の拡大を優先し、2028会計年度までに取引総額(GMV)を1兆元規模に引き上げることを目指すとされている。また、非飲食分野の取引額を2028会計年度中に飲食分野を上回る規模まで拡大し、2029会計年度には即時小売事業全体での黒字化を目指す方針だ。将来的には、同事業がプラットフォーム全体の取引額の約30%を占める可能性もあるという。

一方、主力の中国国内電子商取引事業には課題が残る。同事業の売上高は1109億元(約2兆6100億円)で、前年同期比8%減少。EC事業の収益源である顧客管理収入(CMR)も825億4700万元(約1兆9400億円)と、前年同期比7%減となった。

アリババは、この減少について、新たなマーケティング施策に伴う加盟店向け補助などが売上高から控除される会計上の影響があると説明している。この影響を除いた場合、CMRは前年同期比1%増になるとしている。

中国のEC市場では、従来のネット通販が成熟期に入り、ユーザー獲得や広告・マーケティングによる収益化が難しくなっている。アリババにとっては、AIへの巨額投資を進めながら、既存のEC事業でいかに収益力を維持し、新たな成長分野を育てるかが今後の焦点となりそうだ。

※人民元から日本円への換算は、2026年8月19日の為替水準(1元=約23.48円)を基準に概算したもの。

(中国経済新聞)