上海、2030年までに「世界のサプライチェーン管理センター都市」へ 物流網を再構築

2026/08/19 19:30

中国・上海市は2030年までに、世界の物流・サプライチェーンネットワークの中核拠点となる「グローバル・サプライチェーン管理センター都市」を目指す。上海市は18日、「上海市現代物流発展『第15次五カ年計画』」を発表し、物流インフラの高度化やマルチモーダル輸送、新たな物流分野への投資、デジタル技術の活用などを推進する方針を示した。

計画では、2030年までに上海を世界の物流・サプライチェーンネットワークの中核ノード、国際物流ハブ、そして世界的なサプライチェーン管理センター都市へと発展させることを掲げた。

2025年から2030年にかけて、高水準の倉庫施設の割合を36%から約45%へ引き上げるほか、宅配便の年間取扱量を55億7000万個から70億個へ拡大する。一定規模以上の郵便・宅配便処理センターについては、全自動化率を90%から100%へ高める。

「玄関口―地域―地域社会」の3層物流網を構築

物流ネットワークについては、「ゲートウェイ型ハブ―地域物流基地―コミュニティー級ノード」の3層構造を整備する。

ゲートウェイ型物流ハブとして、浦東空港―東方ハブ物流拠点、青浦―虹橋物流ハブなど4カ所を整備。地域物流基地には、総合物流基地4カ所に加え、農産品専門物流基地5カ所、先進製造業向けの専門物流基地などを配置する。

コミュニティー級物流ノードは、地域内の集配や輸送の中継、短期保管、小規模配送などを担う。各拠点の建築面積は2000~3000平方メートルに抑え、住民の「15分生活圏」をカバーする計画だ。また、2030年までに国際競争力を持つマルチモーダル輸送の大手企業2社を育成する目標も掲げている。

空・鉄道・道路・海運を一体化

計画では、航空、鉄道、道路、海運を組み合わせた「マルチモーダル輸送」の強化を重点施策に位置付けた。浦東空港―東方ハブ物流拠点では、航空・鉄道・道路を組み合わせた輸送モデルの構築を進める。また、臨港―洋山物流ハブでは、道路・鉄道・水運を組み合わせた輸送システムの規模拡大と効率向上を図る。

さらに、マルチモーダル輸送企業を支援する政策の整備、コンテナ輸送に関する標準・ルールの統一、企業連盟の設立などを進める。「一つの運送書類」で複数の輸送手段を利用できる「一単制」や、コンテナを単位として輸送を一体管理する「一箱制」の導入も加速させる。

上海は従来型の物流インフラだけでなく、新たな物流ビジネスの育成にも力を入れる。計画では、使用済み製品などを回収する「逆物流」ネットワークを構築し、回収・保管センターや末端回収拠点の整備を支援。「オンライン回収+オフライン物流」といった新たなモデルを促進する。さらに、低空物流、地下物流、無人配送などの新興分野についても、実用化に向けた探索を加速する。

AIやブロックチェーンで物流をデジタル化

デジタル技術の活用も計画の柱となる。ビッグデータ、ブロックチェーン、人工知能(AI)などを物流業界に導入し、海・陸・空・鉄道を横断する物流データの相互接続システムを構築する。

国家級の物流ビッグデータプラットフォームの整備を支援するほか、物流企業が実際の物流ネットワークとブロックチェーン技術を組み合わせ、倉庫証券を活用した融資や運送証券を利用した融資など、新たな金融サービスを展開することも促す。また、物流・サプライチェーン分野に特化した大規模AIモデルの開発・応用も支援する。

中国物流・購買連合会の周志成研究室主任は、今回の計画について、上海の位置付けが「国際航運センター」から「国際物流ハブ」、さらに「グローバルなサプライチェーン組織・管理センター」へと発展していることを指摘した。

物流は生産と消費、国内貿易と対外貿易を結び付けるとともに、産業チェーンやサプライチェーンの強靱性・安全性、国際競争力を高める重要な役割を担う。上海は物流網の再構築を通じて、長江デルタ地域の物流ネットワークの中核を担い、世界のサプライチェーンを支える国際物流都市としての地位をさらに高める狙いだ。

(中国経済新聞)