中国の炭素市場が大幅拡大へ 石化・化学を新たに対象、CO₂排出の8割を管理

2026/08/14 13:30

中国は全国炭素排出権取引市場の対象業種を、現在の発電、鉄鋼、セメント、アルミニウム精錬の4業種から、石油化学や化学などの高排出産業へ拡大する方針を明らかにした。これにより、全国の二酸化炭素(CO₂)排出量の約80%を効果的に管理することを目指す。

中国国務院新聞弁公室が8月13日に開いた「第15次五カ年計画(2026~2030年)」関連の記者会見で、国家炭素市場の拡大方針が示された。

全国炭素排出権取引市場は、企業が排出できるCO₂の枠を取引する仕組みで、市場原理を活用して企業の排出削減を促す中国の重要な政策手段の一つだ。市場開設以降、排出削減を促す効果が徐々に表れている。

生態環境部によると、7月末時点で全国炭素排出権取引市場の累計取引量は9億3000万トンを突破した。市場取引を通じて、企業の排出削減コストを抑えながら、産業のグリーン・低炭素化を促進している。

生態環境部の李高・副部長は記者会見で、「第15次五カ年計画」期間中に全国炭素市場の整備を加速すると説明した。現在対象となっている4業種に加え、石油化学、化学などの高排出産業を段階的に加え、全国のCO₂排出量の約80%をカバーする考えだ。

また、全国の自主的な排出削減取引市場についても、対象となる分野を拡大する。CO₂削減や森林などによる吸収量の増加につながるプロジェクトにインセンティブを与え、炭素価格を通じて低炭素技術や関連産業の発展を後押しする。

中国政府は、炭素市場の拡大とともに、排出量を正確に把握するための制度整備も進める。「どのように計算するか」「計算できるか」という段階から、さらに「正確に計算する」段階へ移行し、CO₂排出量の統計・算定基盤を強化する。

さらに、製品のカーボンフットプリントに関するデータや基準体系の整備、カーボンラベル認証制度の改善、製品のカーボンフットプリントの活用拡大なども進める。国際的な炭素関連貿易障壁への対応や、海外との基準の相互承認も進め、グリーン・低炭素型のサプライチェーン構築につなげる方針だ。

「第15次五カ年計画」は、中国が2030年までのカーボンピーク達成に向けて取り組みを加速する重要な5年間と位置付けられている。政府はCO₂排出量の総量と排出強度の双方を管理し、エネルギー、製造業、交通、都市・農村建設などの分野でグリーン・低炭素化を進める。

CO₂だけでなく、メタンや工業分野の一酸化二窒素、フッ素系ガスなど、その他の温室効果ガスの排出削減にも取り組む。また、気候変動への適応能力を高めるため、観測や影響・リスク評価、政策の効果検証などの体制も強化する。

先に発表された「美しい中国建設『第15次五カ年計画』」でも、カーボンピーク・カーボンニュートラルを軸に全国炭素市場の対象範囲を段階的に拡大し、参加主体を増やす方針が示されている。さらに、対象業種の単位製品当たりCO₂排出量を約3%削減する目標も掲げている。

中国では今後、炭素市場の対象拡大によって、これまで市場取引の対象外だった高排出産業にも排出削減への経済的インセンティブが働くことになる。市場メカニズムを通じて排出削減コストを最適化するとともに、低炭素技術、排出量算定サービス、グリーン金融など関連産業の成長を促すことが期待されている。

(中国経済新聞)