フランス北東部にあるラリック美術館で7月5日未明、覆面姿の窃盗団が侵入し、約20点の水晶ジュエリーを盗み出す事件が発生した。被害額は現在も調査中だが、捜査関係者によると約400万ユーロに上る可能性があるという。

現地報道によると、犯行は午前5時30分ごろに発生した。窃盗団は博物館の入口をこじ開けて侵入すると、ジュエリー展示室へ直行し、6つの展示ケースを破壊して約20点の作品を持ち去った。
盗まれたのは、フランスのアール・ヌーヴォーおよびアール・デコを代表する芸術家ルネ・ラリックが制作した水晶製ジュエリーで、貴石は使用されておらず、溶解して換金することは困難とされている。ラリックは「現代ジュエリーの先駆者」「香水瓶デザインの父」として知られる。

事件当時、警報装置は正常に作動していたが、捜査関係者によると、警備会社の対応が遅れ、最初に異変に気づいて警察へ通報したのは清掃員だったという。
地元自治体のクリスティアン・ドシュナー市長は、「警報はすべて正常に作動していた。にもかかわらず、警備会社は直ちに現場へ向かわず、憲兵隊への通報もしなかった」と述べ、警備体制に重大な問題があったとの認識を示した。また、「犯人は館内の状況を熟知しており、極めて計画的に犯行を実行した。プロの窃盗団だった可能性が高い」との見方を示している。
フランスでは2025年10月、パリのルーブル美術館で白昼堂々と発生した大規模盗難事件で、約1億200万ドル相当の宝飾品がわずか8分で盗まれた。その後、国内の美術館や博物館の警備体制に対する懸念が高まり、ラリック美術館も「要警戒施設」として重点的な監視対象となっていた。

ラリック美術館は2011年に開館し、ラリック・クリスタル工場に隣接する施設として、アール・ヌーヴォー様式のジュエリーやアール・デコ様式のガラス工芸品、現代クリスタル作品など650点以上を所蔵している。事件を受け、同館は公式サイトで数日間の臨時休館を発表しており、警察は防犯カメラ映像の解析を進めるなど捜査を続けている。
(中国経済新聞)
