AI需要が輸出をけん引 中国5月輸出は前年比19.4%増、市場予想を上回る

2026/06/9 17:00

中国税関総署が6月9日に発表した2026年5月の貿易統計によると、中国の輸出入は引き続き堅調な伸びを示した。ドル建て輸出額は前年同月比19.4%増となり、前月の14.1%増を上回った。輸入額も27.4%増と高い伸びを記録し、市場予想を上回る結果となった。貿易黒字は1,054億3,000万ドル(約16兆8,700億円、1ドル=160円換算)に達し、前月の848億2,000万ドル(約13兆5,700億円)から大幅に拡大した。

2026年1~5月累計では、輸出が前年同期比15.5%増、輸入が24.5%増となり、貿易黒字は4,517億ドル(約72兆2,700億円)を記録した。

今回の輸出拡大を支えた最大の要因は、世界的なAI(人工知能)投資ブームによる半導体や先端電子機器への需要増加である。税関総署の統計によると、自動データ処理装置(サーバーやコンピューター関連機器)の輸出は前年同月比66.1%増、高度技術製品全体では50.9%増となった。自動車輸出も39%増と好調を維持している。

豪州・ニュージーランド銀行(ANZ)の邢兆鵬シニアストラテジストは、半導体価格の上昇が輸出拡大の主因であると指摘する。特にメモリー価格は前月比20%上昇し、集積回路(IC)の輸出額は前年同期比111%増と大幅に伸びた。同氏は「AIブームはまだ終わっておらず、半導体が中国の貿易構造を大きく変えつつある」と分析している。

人民元建てベースでも貿易は好調を維持した。5月の輸出入総額は4兆4,500億元(約89兆円)となり、3か月連続で4兆元を突破した。前年同月比では16.9%増と伸び率も拡大した。

英国の経済調査機関 Oxford Economics のシニアエコノミスト、Sheana Yue氏は、輸出が2026年の中国経済成長を支える主要な原動力になるとの見方を示し、高度技術製品やクリーンテクノロジー関連製品が今後も成長を牽引すると指摘した。

品目別では、1~5月の機械・電気製品の輸出額が7兆5,800億元(約152兆円)となり、前年同期比18.4%増加した。一方、労働集約型製品の輸出は1兆6,100億元(約32兆円)で3.1%減少したが、農産品輸出は3,007億9,000万元(約6,000億円)で1.6%増となった。

輸入面では、機械・電気製品が3兆5,400億元(約71兆円)で前年同期比25.3%増となった。原油輸入は2億1,800万トンで4.8%減少したものの、農産品輸入は6,181億6,000万元(約1兆2,400億円)と7.6%増加した。

世界的なAIインフラ投資の拡大は、アジア全体の貿易にも大きな影響を与えている。データセンター建設需要の急増を背景に、中国の光通信モジュールメーカーなどの受注が拡大しているほか、韓国の半導体メーカーも恩恵を受けている。中国企業による海外製半導体や設備の調達も活発化しており、韓国から中国向けの半導体輸出は5月に前年同月比200%超の大幅増となった。

2026年1~5月の中国の貨物貿易総額は20兆6,800億元(約414兆円)で、前年同期比15.3%増加した。地域別では、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けが16.6%増、EU向けが10.3%増、アフリカ向けが18.2%増となった。また、「一帯一路」参加国との貿易額は10兆5,700億元(約211兆円)で13.6%増加した。

中国は2026年5月からアフリカの国交樹立国に対して全面的なゼロ関税措置を実施している。これを背景に、1~5月の対アフリカ貿易額は1兆1,400億元(約22兆8,000億円)となり、過去最高を更新した。

さらに今年はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の「中国年」にあたり、中国とAPEC加盟経済体との貿易額は12兆3,100億元(約246兆円)と前年同期比17.4%増加した。中国の対外貿易全体に占める割合は約6割に達しており、アジア太平洋地域における経済・貿易活動の活発化が続いている。

世界経済の先行きに不透明感が残る中でも、AI関連需要を背景とした半導体や先端電子機器の輸出拡大が、中国の貿易成長を力強く支える構図が鮮明になっている。

(中国経済新聞)