中国・上海で、人型ロボットが店員を務めるコンビニが登場し、話題を集めている。利用客がスマートフォンでQRコードを読み取って商品を注文すると、ロボット店員が自動で受注し、商品を取り出して手渡す仕組みで、多くの通行人が足を止めて見入っている。
このロボット型コンビニは、中国のAI企業 SenseTime(商湯科技)が展開する「SenseMartGo(焼売購)」シリーズで、すでに上海市内の新洲大厦、宝山新業坊、宝山浜江景区などに導入されている。ゴールデンウィーク期間中には、宝山浜江エリアの店舗で「最短15秒で1件対応」「1日平均400件受注」という実績を記録したという。
商湯科技によると、このシステムは同社が5年にわたり小売業界向けに培ってきた技術とノウハウを基盤に開発された。画像認識技術や大規模な小売データ、複数情報統合型AIモデルを活用し、ロボット開発企業「零次方」と共同でロボット本体を開発。また、「大暁机器人」のデータ収集システムとも連携し、「身体性AI」を活用した次世代型コンビニソリューションとして実用化した。

コンビニ業態は、取引回数が多く、商品の入れ替わりも速いうえ、複雑な環境下で長時間安定して運営する必要がある。そのため、ロボットには高い安定性や応用力、リアルタイムで判断・実行する能力が求められる。
商湯科技は2021年以降、画像認識や動画解析、データ統合、在庫管理単位向けAIモデル、小売現場全体の認識システム、デジタル店長機能、データ管理基盤などを整備してきた。その成果として、今年に入りロボットコンビニの商業化にこぎ着けたとしている。
データ基盤の面では、実店舗から収集した大規模データを蓄積。30万点以上の2次元商品モデル、10万点以上の3次元商品データ、1日150万件を超える取引データ、さらに8000時間以上の環境データを保有しているという。
AI技術面では、「従来型AI」と「身体性AI」を組み合わせた“二重エンジン”を構築。従来型AIでは画像認識技術と複数情報統合型AIモデルを活用し、身体性AIでは3次元再構成技術や世界モデルなどの先端技術を統合している。これにより、ロボットは「認識・理解・判断・実行」を一体化した行動を自律的に行えるようになった。
また、このシステムはコンビニだけでなく、スマート販売棚や自動販売システムなど幅広い小売形態にも対応可能だという。
さらに、実際の販売データをAI学習に活用することで、「実店舗での取引→データ収集→AI学習→現場展開→継続改善」という循環型モデルを構築。ロボットの判断能力や動作性能を継続的に向上させ、店舗運営の効率化と精度向上につなげている。
SenseMartGoのロボット店員は、従来のスマート販売機のように飲料や菓子などの定型商品だけでなく、コーヒー、アイスクリーム、朝食メニュー、ポップコーンなどの非定型商品にも対応可能だ。大量の商品データと複数情報統合型認識技術を活用することで、新商品が追加されても再学習なしで識別・販売できるという。
さらに、ロボットは接客機能も備えている。来店客へのあいさつや握手、商品紹介に加え、中国古典詩の朗読やジョークを披露することも可能で、利用客のニーズや感情に応じた接客を行う。運営側は、「温かみのあるスマート小売空間」の実現を目指しているとしている。
(中国経済新聞)
