白酒の減損で純利益30%減 ― 華潤ビール2025年業績

2026/03/30 17:30

中国のビール業界が総需要の減少と企業間の激しい競争に直面する中、香港証券取引所に上場する華潤ビール(China Resources Beer Holdings Co., Ltd./銘柄コード:00291.HK) が2025年通期の業績を発表した。売上高は379.85億元(約7,600億円)、前年同期比で1.68%の減少。株主に帰属する純利益は33.71億元(約670億円)で、前年比28.87%の大幅減益となった。

この業績悪化には、主力のビール事業と積極的に投資してきた白酒(中国蒸留酒)事業の明暗が表れている。

■ ビール事業は堅調も「量増・単価減」の懸念

2025年の売上高379.85億元のうち、ビール事業は364.89億元(約7,300億円)で前年とほぼ同水準。一方、白酒事業は14.96億元(約300億円)にとどまり、前年比30.39%の大幅減収となった。

主力のビール事業は依然として堅調で、販売量は1,103万キロリットルと前年から1.4%増加。高付加価値製品の拡大が成長の柱で、「ヘリス」は約20%増、「老雪」は60%増、「紅爵」は前年の2倍の販売を記録するなど、高級商品の伸びが売上を支えた。

しかし一方で、「販売量は増えたが平均販売単価は下落」という構造的課題も浮上している。2025年のビール事業の平均販売単価は3,308元/千リットル(約66,000円)で、前年の3,355元/千リットル(約67,000円)から1.41%減少した。

業界関係者は「国内ビール市場は上位5社の市場占有率(CR5)が高まり、強者が強い構造になっている。高級市場での競争は激化しており、さらなる高付加価値市場の拡大には大きな挑戦がある」と指摘する。

華潤ビールの取締役会主席、趙春武氏は会見で「国内ビールの高級化トレンドは変わらない。製品構造は従来のピラミッド型から均衡型へ変化しており、今後の課題となる」と述べた。

■ 白酒事業ののれん減損が利益を直撃

純利益の大幅減少の主因は、同社が保有する 貴州金沙窖酒有限公司(金沙酒業) に係るのれん減損として 28.77億元(約570億円) を計上したことだ。

華潤ビールは2023年1月、123億元(約2,460億円)を投じて金沙酒業の55.19%株式を取得。当時、白酒業界では最大規模の買収として注目された。しかし、買収後の業績は期待を大きく下回っている。

買収前の2021年、金沙酒業の売上高は36.41億元(約730億円)だったが、2023年には20.67億元(約410億円)まで減少。その後2024年に微増したものの、2025年の売上は14.96億元(約300億円)まで縮小し、買収前のピークから約6割減となった。

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この大規模なのれん減損は、市場から華潤ビールの「ビールと白酒の両輪戦略」への疑問を呼んでいる。買収は第二の成長曲線を描く戦略の柱と位置づけられていたが、現状では期待された相乗効果は得られていない。

■ 今後の戦略と展望

趙春武氏は、白酒事業の戦略的再編を進めつつ、ビールの高付加価値戦略は継続する考えを示した。白酒業界は在庫を順次消化しつつ、醸造系白酒市場は緩やかに拡大しているものの、主要企業による市場集中は続くという。

金沙酒業は規模が小さいため、機動力を生かして差別化製品で細分市場を狙うことが可能であり、2026年には白酒事業の底打ちが期待されるとしている。

華潤ビールは、ビール事業の安定を保ちつつ、白酒事業の再構築に取り組む難題に直面しており、両事業の戦略的再編が今後どの程度の収益改善につながるか、市場の注目が集まっている。

(中国経済新聞)