中国、フードデリバリーの補助金競争に歯止め 過熱する価格競争に規制強化

2026/03/26 11:00

中国当局は、フードデリバリー業界で過熱していた大規模な補助金競争に対し、事実上の「停止」を求める姿勢を明確にした。国家市場監督管理総局は3月25日、「デリバリーの価格競争は終わらせるべきだ」とする論評を公表し、行き過ぎた値下げ競争への懸念を示した。

過去1年、デリバリー市場では激しい価格競争が続いてきた。割引クーポンや現金還元、大規模な補助金キャンペーンにより、消費者は数元(数十円)で食事ができる状況が広がった。こうした競争は、京東(ジンドン、JD.com)の参入をきっかけに一段と激化し、主要プラットフォーム3社(美団(メイトゥアン)、京東(ジンドン)、饿了么(ウーラマ))の投資額は累計800億元(約1兆6800億円)を超えたとされる。

しかし、この「低価格競争」は単なる値下げではなく、市場支配をめぐる争いだと指摘されている。巨額の補助金で利用者を囲い込む一方、飲食店は手数料や広告費の増加と、消費者の低価格志向のはざまで収益確保が難しくなっている。その結果、コスト削減のために食材の質やサービス水準が低下するなど、業界全体への悪影響が懸念されている。

さらに、この動きは実店舗にも打撃を与えている。オンラインに需要が集中する一方で、街中の小規模飲食店は価格競争で不利となり、閉店に追い込まれるケースも増えている。実際、2025年半ば以降、中国の飲食業の売上の伸びは鈍化しており、業界団体は補助金競争による価格下落が一因と指摘している。

当局はこれまでに複数回、プラットフォーム企業に是正を求めており、国務院の独占禁止・不正競争対策部門も調査を開始している。「補助金競争」「価格競争」「利用者の囲い込み」による過度な競争は、実質的に独占的な行為に近いとみている。

専門家は、このようなビジネスモデルは長期的に持続しないと指摘する。補助金で市場を拡大した後、寡占状態になれば、プラットフォームは手数料の引き上げやルール変更によって収益を回収する可能性が高く、最終的には消費者や事業者が負担を負う構図となる。

実際、配車サービスやシェアサイクル、共同購入サービスなどでも、「補助金投入→市場拡大→寡占化→値上げ」という流れが繰り返されてきた。今回の規制強化は、こうした事態を未然に防ぐ狙いがあるとみられる。

当局の対応は、市場への過度な介入ではなく、公正な競争環境を守るための措置と位置付けられる。今後は、価格ではなく、サービスの質や技術革新による競争への転換が求められる見通しだ。

補助金競争の終息により、飲食店が本来の価値である品質や特色で評価される環境が整うかが注目される。フードデリバリー業界は、持続可能な成長に向けた転換点を迎えている。

(中国経済新聞)