中国結婚登記数、第3四半期暴増23%

2025/12/25 11:00

2025年前三季度、全国結婚登記対数は515.2万対に達し、前年同期比で40.5万対増加、同比8.6%上昇した。この数字は近年続いた結婚数減少トレンドからの顕著な反転を示す。特に第3四半期だけを見ると、158.3万対を記録し、前年比23%の暴増となった。多くの専門家とメディアが「驚きの数字」と表現するほどだ。

第1四半期は前年比15.9万対減少(約8%減)と低迷したものの、第2四半期から急回復。第2四半期は前年比増加に転じ、第3四半期でピークを迎えた。この急激なV字回復の背景には、政策・経済・民俗の三重効果が重なっている。

最大の要因は2025年5月10日施行の新『婚姻登記条例』だ。この改正により、婚姻登記が「全国通办」となり、戸籍簿の提出が不要に。異地就労者や跨省カップルは出身地に戻る必要がなくなり、手続きが大幅に簡素化された。これにより行政コストと家族介入が減少し、即効性のある効果を発揮した。例えば広州市では第2四半期の結婚対数が前年比39.9%増(7471対増)、その多くが跨省市登記組。青島でも外地戸籍者の登記量が倍増した。

さらに各地の現金奨励・消費券政策が追い風となった。山西省呂梁市では初婚夫婦に1500元の現金红包、広州市白云区南嶺村では条件次第で最高4万元の奨励金。杭州・寧波・紹興・金華など浙江省各地でも800〜1000元(約1.6〜2万円の結婚消費券を配布している。

より広範な影響を与えたのは、2025年7月28日に国家が発表した『育児補助制度実施方案』だ。2025年1月1日から、全国の3歳未満幼児に対し毎年3600元(約8万円)の補助金を支給(3年間継続)。これは新中国成立以来初の全国規模・普恵型・直接給付型の民生保障政策であり、出生・育児コスト低減の強いシグナルとなった。2025年1月1日以前出生の3歳未満児も遡及適用され、月数按比例で補助を受けられる。

加えて婚假延長も進む。現在、全国29省で婚假が延長され、新疆は23日、山西・甘粛は最大30日に達する。これにより結婚の時間コストも低下した。

民俗心理の影響も無視できない。2025年は珍しい「双春年」(暦年に立春が2回)であり、伝統的に「双春宜婚」とされ、2024年の「無春年」(寡婦年)を避けたカップルが一気に登記を集中させた。

しかし、この結婚数急増は出生人口回復の兆しとは限らない。公式統計の「結婚対数」には初婚・再婚・過去未登記分が含まれるが、出生に直結する初婚人数は依然深刻だ。『中国統計年鑑2025』によると、2024年の全国初婚人数は917万人にとどまり、前年比277万人減、23%減。近数十年で初婚人数が初めて1000万人を割り込んだ歴史的低水準である。

人口学者によると、近年初婚人数と出生人口の比率平均は約1.18。これを基に推計すると、2025年の出生人口は777万人前後(上下50万程度の変動)にとどまり、依然として減少基調が続く見込みだ。適婚年齢人口(20〜39歳)の急減、晩婚・不婚化、高い結婚・育児コスト、ジェンダー観念の変化など構造的要因が根強く残るため、今回の「結婚小高峰」は一時的な反発にとどまる可能性が高い。

(中国経済新聞)