中国の実業家で著名投資家でもある段永平氏(步步高創業者、OPPO・vivo・Picoの出資者)がこのほど、不動産大手・万科集団の創業者である王石夫妻の対談番組に出演し、自身の投資哲学や企業経営の考え方について率直に語った。
段氏は、投資で最も重要な原則について次のように強調した。
「投資で一番大事なのは、相手のビジネスを本当に理解することです。理解できなければ、市場の揺れに必ず振り回されます。逆に、しっかり理解していれば、株価が下がっても動じません。口座を見て“早く逃げなきゃ”と焦るのは、それは投資ではなく投機です。もちろん投機にも良いところはあります。ドーパミンがドバドバ出て、とても気持ちがいいですからね(笑)」
代表例として挙げたのが、自身が2000年代初頭に大量購入したネットイース(網易)だ。
「ネットイースを買った理由は、ただ彼らのビジネスを理解できたから。それだけなんです」多くの人が「価値投資は難しい」と言うことについて、段氏は真っ向から反論する。
「みんな価値投資は難しいと言いますが、実は投機の方がずっと難しい。個人投資家の8~9割は、強気相場でも弱気相場でも結局は損をしています。それに比べて、私は貴州茅台酒を買って十数年持ち続けているだけです。
一体どこが難しいのでしょうか?」茅台酒については今も「変わらず強気」だという。
「お酒を飲まない人には分かりにくいかもしれませんが、私の周りには茅台が大好きな友人がたくさんいるんです。だからこそ、このビジネスが理解できるのです」
若者の起業機会が話題にのぼる中、対談では近年急成長しているブラインドボックス玩具大手・バブルマート(泡泡瑪特)が取り上げられた。
段氏は率直にこう語った。
「バブルマートは正直よく分かりません。だから投資もしませんし、株も買いません。
でも、彼らがやっていることには非常に感心しています。
“感情価値(エモーショナル・バリュー)”をここまで商品化できる能力は、決して偶然や運では成し得ない。本当にすごいことです」
「理解できない会社=悪い会社」ということではなく、「自分が理解できる範囲でしか投資しない」。これこそが段永平氏の一貫した投資哲学であり、バブルマートに対してもその姿勢を崩さなかった。
(中国経済新聞)
