中国の若者による“ペット愛”が、いまや働き方にまで影響を与えつつある。映画『ズートピア2』が公開4日で興行収入10億元を突破した話題に象徴されるように、2025年はペット経済関連の雇用が大幅に拡大している。
■ ペット関連職が求人増加率で2位に
求人サービス大手・智聯招聘(Zhaopin)の郭盛董事長は29日、「第三回全国人力資源サービス業発展大会」で最新データを公表した。2025年前三四半期に求人増加率が最も高かった10職種のうち、ペット経済関連の職種が2位となり、増加率は30.4%。1位は62.5%増の機械学習エンジニアだった。
郭氏は「AIが職場に構造的な変化をもたらす一方で、社会構造の変化に伴い新しい職業も続々と生まれている」と指摘。ペット医師やトリマー、ペット美容師など、新ジャンルの職業が存在感を増していると述べた。

■ 年平均13.3%で急成長する中国ペット市場
求人増の背景には、急拡大する中国のペット市場がある。同市場は年平均13.3%という高い成長率を維持し、世界の中でも最も勢いがある。成長を支える要因としては、経済成長と可処分所得の増加、急速な都市化、人口構造の変化、消費観念の多様化、政策・社会環境の改善といった点が挙げられる。
■ “育児するようにペットを育てる”00後が新たな原動力に
華源証券の研究報告では、2024年の00後(2000年代生まれ)のペット飼育者は2000万人を突破し、前年比164%増。全体の25.6%を占め、飼育率は24%に達した。
ペット1匹当たりの年間平均消費額は2419元だが、00後のペット飼育は“育児のように丁寧に育てる”スタイルが特徴で、個性の強いペット用品、ペット医療、ペット保険、トリミングや写真撮影、ペット向けイベントといった分野の需要が急速に増えている。
■ 興味を軸に仕事を選ぶ若者、ドッグトレーナーも人気職に
2025年には、訓犬師(ドッグトレーナー)の求人も前年から28%増加した。ドッグトレーナーの多くは自身が愛犬家で、「好きなことを仕事にする」という価値観が支持されている。生活と仕事の親和性が高い点も若者に受け入れられている理由だ。

■ 若年層の多様な就職を後押し、“新しい働き方”も提示
今回の大会では、先端製造、光電子情報、ヘルスケア、AI、低空経済などの重点分野を中心に、大学生や海外留学生向けに4万以上の求人が提供された。ライブ配信での求人紹介、就職相談、大学と企業のマッチングなども同時に行われた。
さらに、2025年版の「千校万岗・就业有位来」大学生向け就職支援プロジェクトでは、学生の興味に合わせた“非伝統型の職業”100種を選定。手淹れコーヒー職人、布雑貨クリエイター、広告次元アーキテクト、感情ケアセラピスト、クラフトビールのタップ担当、短編ドラマのエキストラ、ペット洗護師など、フルタイムでも副業でも働ける柔軟な仕事が並び、若者に多様な選択肢を提供している。
(中国経済新聞)
