台湾積体電路製造(TSMC)は11月25日、元副総経理(副社長)である羅唯仁氏が競業禁止条項に違反し、かつ同社の営業秘密および機密情報を競合のIntelに漏洩した可能性があるとして、台湾智慧財産及商業法院に正式に訴訟を提起したと発表した。
羅唯仁氏は2004年7月に入社以来、約21年間にわたりTSMCに勤務し、副総経理まで昇進したベテラン幹部だった。しかし今年7月27日に正式に退職すると、その直後にIntelの執行副社長として就任したことが明らかになった。
今月に入ってからの情報によれば、羅氏は退職前に高級幹部としての権限を悪用し、従業員に対してTSMCの2nmおよびA16、A14など最先端プロセス技術に関する技術ブリーフィング資料を作成させ、それを自ら持ち出した疑いが浮上している。
TSMCは、今回の訴訟は両者が締結した雇用契約、競業禁止同意書、および「営業秘密法」などの規定に基づくものだと説明。羅氏は在職中に保密義務および退職後の競業禁止条項に署名しており、これに明確に違反していると主張している。
特に注目されるのは、羅氏が今年3月に企業戦略開発部に異動となった後も、研究開発部門に対して会議開催や資料提供を要求し、進行中および将来計画の先進プロセス技術について詳細に把握しようとしていた点だ。
さらに決定的なのは、7月22日の退職面談の際、羅氏が「退職後は学術機関に籍を置く」と明言し、Intelへの転職については一切言及しなかったことである。
TSMCは「退職後わずか数か月でIntelに就任した事実から、弊社の営業秘密および機密情報をIntelに対して使用・開示・告知・移転した高度な蓋然性がある」と判断。契約違反による損害賠償を含め、法的措置を取らざるを得ないと強調した。
(中国経済新聞)
