中国自然資源部は11月14日、遼寧省で国内初となる金属量1000トン級の低品位・超大型金鉱床「大東溝金鉱」が探明されたと発表した。中国の金資源戦略を支える重要な成果として注目されている。
■ 平均品位0.56グラム/トンでも露天採掘が可能
大東溝金鉱は、境界品位0.25グラム/トンと低品位ながら、露天採掘が可能な超大型鉱床で、華北地塊北縁西部成鉱帯の大型露天鉱や、すでに採掘を終えた浙江西部—福建西部成鉱帯の大型露天鉱に続く存在となる。

探査の結果、標高マイナス720メートル以上の範囲で金鉱石量25.86億トン、金属量1444.49トンを確認。平均品位は0.56グラム/トンで、鉱体は標高マイナス913.06メートルから115.08メートルに分布する。最大延長は3128メートル、最大斜深1250メートル、平均層厚263.35メートル、最厚部は513.49メートルに及び、その規模の大きさが際立つ。
■ 発見から40年 新手法導入で短期間の探査に成功
大東溝金鉱の手掛かりは1983年に見つかり、その後2009年と2015年の調査で段階的な進展があった。
2024年の新たな探査では、「予備調査と精密調査を一体で進める」新しい探査モデルを導入し、18の生産・研究機関が参加する大規模な体制を構築。ピーク時には45基の掘削機が同時に稼働し、約1000人の作業員が連携して作業にあたった。
千枚岩地域で初めて可変周波数装置を導入し、岩質の硬さに応じて掘進速度や圧力を自動調整することで、掘削の偏りを防止。三次元モデルや地質統計学を活用して資源量を推定し、従来手法で検証することで、信頼性の高い評価を実現した。

遼寧省地質探査鉱業集団は約2億元を自ら調達し、15カ月で219本のボーリングを実施。総掘進距離は13万6700メートルに達した。2025年6月に現地作業を終え、同年8月には探査報告書を提出。「短期間で高品質」を実現した金鉱探査として国内でも先例となった。
■ 黄金産業基地の形成へ 東北振興にも寄与
大東溝金鉱の探査は、遼寧省委・省政府が重点事業として進めていたもの。今回の成果は、中国の金資源戦略の強化につながるだけでなく、既存の鉱床周辺や深部での新たな探査の可能性を広げる。
また、金鉱の成因研究の深化にも寄与し、遼東地域で世界レベルの黄金産業基地を形成するための基盤となる。さらには、東北地域の経済活性化にも大きな意味を持つとみられている。
(中国経済新聞)
