第9回平遥国際映画展で、ヴェネツィア国際映画祭の最優秀女優賞を受賞したばかりの辛芷蕾(シン・ジーレイ)が主演作『日掛中天』を携え登場した。新中式の金色ドレス姿で現れると、会場の視線を一身に集めた。
蔡尚君(ツァイ・シャンジュン)監督が手掛け、辛芷蕾(シン・ジーレイ)と張頌文(チャン・ソンウェン)が主演を務める同作は、上映チケットが発売開始直後に完売。平遥映画展の中でも注目度の高い作品となった。

今回の映画展では『一戦再戦』『情感価値』といった国際作品に加え、複数の中国新作が初披露。『日掛中天』と、畢赣(ビー・ガン)監督×易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)主演の『狂野時代』が並び立つ話題作となり、それぞれ11月7日、11月22日の全国公開が発表された。
辛芷蕾(シン・ジーレイ)は観客の大歓声に迎えられ、「ヴェネツィアで受賞した時よりも緊張する」と心境を語った。

「外でどんなに評価されても、一番欲しいのは家族の肯定。今回の受賞は、十数年間俳優として歩んできた一つの節目だと思います。中国には素晴らしい女優がたくさんいる。もっと良い脚本、もっと良い映画を作って、中国映画を世界に届けたい」と続けた。
監督の蔡尚君は、辛芷蕾(シン・ジーレイ)を主演に選んだ理由について「舞台を2時間支える力と表現力がある。彼女の性格と役柄の強さも重なる」と説明。「彼女の演技は完璧と言っても差し支えない」と評した。

『日掛中天』は広州を舞台に、7年の歳月を越えた男女の再会を描く。
恋人だった美雲(辛芷蕾/シン・ジーレイ)と葆樹(張頌文/チャン・ソンウェン)は、事故により離別。7年後の再会時にはそれぞれ困難な状況にあり、人間性や道徳、救済をめぐる葛藤が浮かび上がる。ドラマチックな展開よりも日常の積み重ねに重点を置き、生命の意味を静かに照らし出す。
制片人の馬双は「何度観ても涙が出る。誰しも愛せず、愛されず、触れられずに立ち止まる瞬間がある。だがどんな状況でも前へ進めると信じたい」と語った。

撮影は広東省各地で行われ、監督は「強烈な陽光と湿気を帯びた広州の空気が物語にふさわしかった」と背景を説明。終盤の約10分間の長尺シーンでは、辛芷蕾(シン・ジーレイ)の圧倒的な感情表現が観客を引き込んだ。
(中国経済新聞)