中国発のトイブランド「ポップマート(Pop Mart、09992.HK)」が19日、2025年上半期の決算を発表した。売上高は138億8,000万元(約2兆7,760億円)となり、前年同期比で204.4%増加。調整後純利益は47億1,000万元(約942億円)と、前年通期の実績をすでに上回った。

今回の決算は、同社がグローバル組織再編を実施した後、初めての決算となる。地域別の売上高も初めて公開され、国内中国市場は82億8,000万元(約1,656億円/前年比135.2%増)を計上。アジア太平洋地域(中国以外)は28億5,000万元(約570億円/257.8%増)、アメリカは22億6,000万元(約452億円/1,142.3%増)、欧州・その他の地域は4億8,000万元(約96億円/729.2%増)と、いずれの地域でも大幅な成長を遂げた。
IP別では、看板キャラクター「LABUBU」を含むシリーズ「THE MONSTERS」が48億1,000万元(約962億円)を売り上げ、全体の34.7%を占めた。さらに「MOLLY」「SKULLPANDA」「CRYBABY」「DIMOO」などの主要IPについても、それぞれ売上が10億元(約200億円)を突破している。

商品別では、ぬいぐるみカテゴリの売上が61億4,000万元(約1,228億円)に達し、初めてフィギュアを上回った。新商品の投入が顧客層の拡大に寄与し、IPプラットフォームとしてのグローバル展開を加速させている。
創業者兼CEOの王寧(ワン・ニン)氏は業績説明会で「今年は売上200億元(約4,000億円)を目標としていたが、現状をみる限り、300億元(約6,000億円)も難しくない」と期待感を示した。その一方で「売上成長だけを追うのではなく、企業としての“健全性”も重要だ」と強調した。
LABUBUへの需要が依然として高い状況については、「一つのIPの比重が高いからといって健全でないとは思っていない。どのIPにも独自の魅力がある」との考えを示した。

中国国内ではオンライン販売が急成長しており、上半期のオンライン売上は29億4,000万元(約588億円/前年比212.2%増)に達した。抽選式ガチャ機は引き続き高い人気を維持し、新規顧客の獲得にも貢献。各種ECプラットフォームでは「618」セール期間中に軒並み首位を獲得した。抽選ガチャ機の売上は11億3,000万元(約226億円)、抖音など内容型ECで5億6,000万元(約112億円)、天猫旗艦店では6億6,000万元(約132億円)を記録している。

LABUBU商品の供給体制について多くの消費者が懸念を寄せている点に関しては、同社のサプライチェーン総裁であるユエン・ジュンジエ氏が「現在、ぬいぐるみの月産能力は昨年同期の10倍、約3,000万個まで拡大している。まだ“追いつく段階”にある」と説明した。
ワン・ニン氏はさらに、「来週から、スマホにも付けられるMini版LABUBUを発売する。これまでのようにバッグにつけるだけでなく、スマホで持ち歩くなど、より日常的に使用できる商品になる」と語った。
(中国経済新聞)