中国で最も高い超高層ビルの建設プロジェクトが中止に

2025/07/22 11:00

7月18日、世茂集団(Shimao Group)は、深圳市龍崗区に位置する「深港国際中心」の建設プロジェクトの売却を発表した。このプロジェクトは、当初239億元(約4915億円)の取得コストで進められていたが、深圳市龍崗区政府による回収補償価格は68億元(約1398億円)に設定され、約70%の損失を被ることとなった。

世茂集団は、このプロジェクトにおいて高さ600メートルを超える「中国第一超高層ビル」を建設する計画を立てていた。しかし、過去7年間にわたり、プロジェクトのほとんどの計画は停滞状態にあった。世茂集団は声明の中で、プロジェクトの計画承認がスムーズに進まず、補償額が不足していることや、プロセスに時間がかかりすぎていることを間接的に示唆した。

深港国際中心プロジェクトは、敷地面積32.19万平方メートル、総建築面積約136.45万平方メートルを誇る大規模な開発計画であった。報道によると、世茂集団は総投資額として500億元(約1兆円)を計画していた。このプロジェクトは、深圳の「東進戦略」や粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)の発展を加速させるための目玉プロジェクトとして、2018年3月に着工式が行われた。

2019年7月に「世茂深港国際中心」の公式微信アカウントで公開されたプロジェクト紹介によると、このプロジェクトは《粤港澳大湾区発展計画綱要》に基づき、地域のイノベーションと産業の高級化を目指すものであった。具体的には、「三重の次元」「五大センター」「九つのテーマ」を掲げ、世界6大トップデザイン機関が初めて結集し、世界的なランドマークとなることを目指していた。

特に注目を集めたのは、世茂集団がプロジェクト用地取得後に発表した、高さ600メートル以上、場合によっては700メートルに達する超高層ビルの建設構想だった。このビルは、完成すれば上海中心(632メートル)を抜き、「中国第一高楼」となる予定だった。

しかし、超高層ビル建設には高い容積率が必要であり、近年、中国では建築分野での高さ制限政策が厳格化している。このため、プロジェクトは「四証」(国有土地使用証、建設用地計画許可証、建設工程計画許可証、建築工程施工許可証)の取得に苦戦した。世茂集団は声明で、「土地譲渡契約の段階で、600メートルの建設高度に関する計画設計条件が取得できず、現在も主塔の建築高度が明確に定まっていない。そのため、民航局から700メートルの高さの承認を得たにもかかわらず、有効な建設用地計画許可証を取得できず、後続の開発プロセスを進めることができない」と説明している。

深港国際中心は、粤港澳大湾区の経済発展と深圳の都市化を象徴するプロジェクトとして期待されていただけに、今回の建設中止は地域の開発計画や投資環境に一定の影響を与える可能性がある。世茂集団の巨額の損失も、現在の中国不動産市場の厳しい状況を反映している。

(中国経済新聞)