ドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェは2025年7月8日、2025年上半期のグローバル販売台数が前年比6%減の146,391台となったと発表した。特に中国市場では販売台数が28%減と大幅に落ち込み、厳しい状況が続いている。一方、最大市場である北米では販売台数が10%増加した。ポルシェは声明で、「北米での成長は、市場での製品供給量の増加と、今年上半期の輸入関税引き上げに伴う価格保護策が主な要因」と説明した。また、上半期に納車された車両のうち36.1%が電動車で、前年比14.5%増と電動化が進んでいる。
ポルシェの主力SUVであるカイエンは、中国市場でかつてない苦境に立たされている。数年前には「富裕層のステータスシンボル」として、30万元のプレミアム価格が上乗せされ、納車まで半年待ちという人気ぶりだった。しかし現在、カイエンは大幅な値引きが続き、標準モデルの裸車価格は68.8万元(約99.8万円相当)まで下落し、最大30%のディスカウントが施されている。それにもかかわらず、月間販売台数はわずか1,300台強で、前年比58%の大幅減を記録している。

ポルシェ中国の販売台数は、ここ数年で劇的に縮小している。2021年には年間95,700台を販売し、ピークを記録したが、2024年には56,900台に落ち込み、2025年第1四半期(1~3月)の販売台数はわずか9,471台となった。これは3年前のピーク時から約90%減、北米市場の半分以下という厳しい結果だ。5年前のカイエンは、標準モデルが99.8万元、追加オプション込みで120万元以上、納車待ち期間は半年という人気車種だったが、現在の価格崩壊と販売不振は、ポルシェ中国の苦戦を象徴している。
中国市場での販売低迷の背景には、競争の激化と消費者の嗜好変化が指摘されている。 高級車市場では国産ブランドや新興EVメーカーの台頭により、ポルシェのような輸入高級車は価格競争に巻き込まれている。また、ポルシェの電動車シフトが中国市場のニーズに十分に応えられていない可能性も考えられる。2024年と2025年の連続した販売低迷は、ポルシェが中国市場での戦略見直しを迫られていることを示している。
ポルシェは、電動車の販売比率向上や北米市場での成長を背景に、グローバルでのブランド価値維持を目指すが、中国市場での巻き返しは急務だ。今後の戦略転換と製品ラインナップの強化が、ポルシェの中国市場での再起を左右する。
(中国経済新聞)