2025年7月1日、中国南方航空吉林分公司で衝撃的な事件が発生し、注目を集めている。この日、同社社員の李某某(31歳)が仕事上の不満から同僚を負傷させ、その後自らビルから飛び降り死亡する事件が起きた。吉林警方は同日夜、公式な通報を発表し、この刑事事件を確認した。
警方の発表によると、7月1日午前11時頃、南方航空吉林分公司の社員である李某某は、仕事上のトラブルから同僚の黄某と李某を刃物で刺し負傷させた。その後、李某某はビルの15階に移動し、ガラスを叩き割った後、飛び降りて死亡した。負傷した黄某と李某は病院に搬送され、治療を受けた結果、命に別状はないという。現在、警察はこの事件についてさらなる捜査を進めている。

知情者によると、事件の詳細な経緯は以下の通りである。李某某は、会社から「必要な規則や手順を習得・実行していない」と評価され、「通信障害時の手順の不正確な理解」や「コックピットドアの電子ロックのパスワードの誤った把握」などの問題を指摘されていた。これに不満を抱いた李某某は、7月1日午前、飛行部のリーダーと面談し、問題について話し合った。しかし、話し合いの最中、感情的になった李某某は、飛行部党委書記の劉某某と飛行部マネージャーの朱某某を刃物で襲い負傷させた。
その後、吉林基地の労働組合主席と地上職員が仲裁に入り、事態を収めようとしたが、彼らも李某某に襲われ負傷。計4人を負傷させた後、李某某は15階に移動し、ビルのガラスを破壊した後、飛び降り自殺した。
李某某は1993年生まれの31歳で、南方航空で約10年間勤務していたパイロットだった。結婚し、子を持つ父親でもあった。ネット上では李某某の写真が拡散されており、明るくハンサムな外見が印象的だ。李某某はこれまで仕事で数々の表彰を受けており、優秀なパイロットとして知られていた。
事件から3日後の7月4日、李某某の妻がソーシャルメディアで声を上げた。彼女は、「夫が事件を起こした後、南方航空から家族への連絡が一切なかった」と訴えた。さらに、「約10年間会社に貢献し、多くの賞を受賞してきた夫が、なぜ突然このような結末を迎えたのか。会社でどんな不当な扱いを受けたのか、真実を知りたい」と述べ、夫の死の背景に疑問を投げかけた。
この事件は、職場でのストレスや不満が極端な行動につながる可能性を示す痛ましい事例である。李某某が指摘された業務上の問題が、どれほど彼に精神的な圧迫を与えたのかは不明だが、妻の訴えから、会社側の対応や職場環境に何らかの問題があった可能性がうかがえる。
南方航空は現時点でこの事件に関する詳細なコメントを出しておらず、家族への対応についても明確な説明がない。警察の捜査が進む中、事件の全容が明らかになることが期待される。また、企業における従業員のメンタルヘルスや職場環境の改善が、こうした悲劇を防ぐために不可欠であるとの声も上がっている。
(中国経済新聞)