中国の科学者チーム、生命存在の可能性を秘めた「スーパーアース」を発見

2025/06/5 07:30

中国科学院・雲南天文台の発表によると、同台の研究員・顧盛宏氏が主導する国際共同研究チームが、太陽に類似した恒星のハビタブルゾーン(居住可能領域)内において、地球の約10倍の質量を持つスーパーアース「ケプラー725c(Kepler-725c)」を初めて発見した。

この成果は6月3日(北京時間)、国際学術誌『Nature Astronomy(ネイチャー・アストロノミー)』に掲載され、天文学界において注目を集めている。

研究チームは、惑星の「トランジットタイミング変動(TTV:Transit Timing Variation)」という観測手法を用いて、これまで発見が困難だった“隠れた系外惑星”の存在を逆算によって明らかにした。TTVは、複数の惑星が同一恒星の周囲を公転している場合、互いの重力的影響によって通過タイミングが微妙に変化する現象を指す。これを精密に解析することで、新たな惑星を間接的に検出できる。

今回発見されたケプラー725cは、太陽に似たG9V型恒星を周回している。この恒星は太陽とスペクトル型が近いものの、年齢は16億年と若く、磁場活動も太陽より活発であるという。

同惑星の公転周期は約207.5日で、地球の1年(365日)に比較的近く、恒星からの距離も液体の水が存在可能とされる“ハビタブルゾーン”内に位置している。このため、生命の存在条件を満たしている可能性があると期待されている。

この発見は、系外地球型惑星の探索における新たな突破口を開いたと同時に、TTV手法の有効性を証明するものでもある。特に、太陽型恒星のハビタブルゾーンにおいて、視認しづらい“隠れた惑星”を発見するための重要な技術的ブレークスルーとなった。

さらに、この成果は今後の中国の宇宙天文計画にも大きな意味を持つ。たとえば、「中国有人宇宙飛行計画 巡天空間望遠鏡(CSST)」や「地球2.0(Earth 2.0)」プロジェクトなどにおける観測ターゲットの一つとして、ケプラー725cは重要な役割を果たすと期待されている。加えて、本研究で用いられたTTV反演技術は、将来の探査機や宇宙望遠鏡における標準的な観測手法として広がる可能性もある。

顧盛宏氏は発表の中で、「この発見は、地球以外に生命が存在する可能性を科学的に探求するうえで重要なステップであり、今後の宇宙探査における観測戦略に新たな視点を提供するものです」と語っている。

人類が「第二の地球」を探し続けるなかで、今回の成果は、宇宙における生命の可能性を一歩身近にする意義ある発見といえる。

(中国経済新聞)