中国は今年1月現在、動物の診療機関の数が約3.4万か所余りで、去年同期より17%多く、増加傾向が鮮明である。
市場の拡大に伴ってトラブルも増えている。消費者のクレームサイト「黒猫投訴」で「動物病院」をキーワードに検索したところ、苦情件数は4月28日の時点で計3600件余りであった。中容を調べると、動物医療について次のような問題が浮かび上がった。
- 無資格営業もあり誤診が絶えない
動物病院は開業の際に、市場管理部門で営業許可を取得した上、農業部門で動物診療許可証を得るなど、資格や証書が必要である。ところが調査の結果、これらの資格類がない病院や、無免許の獣医師が存在することがわかった。電話や動画AIアプリのみで対応、あるいはAIソフトウェアでの検索でなおざりな対処をするケースもあった。
- 従業者の質がまちまちで誤診が頻発
南京市に住む瀋晴さんは、幼犬を診てもらおうと動物病院に足を運んだ。色々と検査をした結果、「転倒による肉離れ」と診断され、治療を繰り返したが効果がなかった。後に南京農業大学教学動物病院で「犬ジステンパー」と診断され、手遅れとなり死んでしまった。
- みだりに治療費を設定、過剰診療も
苦情の中で最も多かったのが治療費とその設定内容である。蘇州市に住む黄健さんによると、「猫の腎機能検査」の場合、請求額が2000元の場合もあれば、その約3倍となる6000元近いところもあるという。「メス猫の不妊手術代」について病院10か所を調べたところ、150元から1000元と開きがあった。
同じく南京農業大学の動物医学院臨床獣医学科の毛鍶超准教授によると、安値で客を誘い出した上、処置内容を増やして多額の請求をする病院もあり、過剰診療が目に余るという。
- 治療薬が多過ぎ、相談も無駄
23歳の浪浪さんによると、飼っている猫が感染性の腹膜炎にかかり、「オンラインショップを当たって未許可の『特効薬』を買うこと」などと獣医に言われ、後にその薬が模造品だと分かった、という。
長江デルタ地帯のある動物用ドラッグストア店主は、「中国語表記のない『輸入品』を使っている病院もある。こうした薬はほとんどが密輸品か模造品だ」という。
「ペットの治療でトラブルに見舞われても苦情を訴えたり相談したりする仕組みがない」というやるせなさを抱える飼い主も多い。ハンドルネーム「Joan」さんはSNSで、「愛犬が腎結石の手術を受けて3.2万元もかかった。苦情を言ったが無駄だった」とコメントした。また鞍山に住む琪琪さんは、ある動物病院で小さなトカゲを治療した際、しっぽがマヒ状態となり切除された。この件をネットで公表した上、行政サービスダイヤルに訴えたり、農業部門に連絡したりして説明や賠償を求めたが、回答は得られなかったという。
相次ぐ動物治療のトラブルについて調査したところ、次のような事象が浮かび上がった。