上海市楊浦区、優秀な動画配信者(UP主)に最大4000万円の住宅補助を発表

2025/05/10 13:00

5月8日、上海市杨浦区にて「人材の質の高い発展に関する大会」が開催され、インターネットコンテンツクリエイター向けの新たな支援政策「優享計画(ゆうしょうけいかく)」の実施細則が発表された。その中で、優秀な動画配信者(UP主)が同区内で初めて住宅を購入する場合、最大200万元(約4,000万円)の補助金が支給されることが明らかになった。

この「優享計画」は、世界中のインターネット優良コンテンツクリエイターを対象に、育成支援、創作インセンティブ、居住支援、給与報酬、定住サポートなど10項目の具体的な施策から構成されている。クリエイターを経済的に支援し、社会的影響力のある若者世代の文化担い手として育成することを目的としている。

住宅補助の詳細としては、初回住宅購入時に一括で50万元から200万元の補助が提供される。また、高品質な人材向け住宅への優先入居権が与えられ、最大月額8,000元の家賃補助も利用可能。

給与面でも、年収が100万元を超えるクリエイターには、所得税や重点産業奨励制度の適用を受けない場合に限り、年収の5〜8%相当額の奨励金が支給される。

さらに、中国国内のクリエイターには戸籍登録(落戸)の優遇措置があり、その配偶者や未成年の子供も同行転籍が可能。外国籍クリエイターに対しても、中国での居住・勤務・ビザ手続きなどで便宜が図られる。

子どもの教育や医療面でも配慮がなされており、公立の幼稚園・義務教育機関への優先入学、上海市および区内の上級医療資源の利用など、一貫した生活支援が整備されている。

この政策は、急成長するコンテンツ産業における人材争奪戦の一環であり、特に若年層に強い影響力を持つUP主やインフルエンサーを都市の文化的資源として積極的に取り込む狙いがある。

同日には、海外・国内の優秀な新卒学生向けに短期無料宿泊を提供する「短期免租試行プラン」も発表され、面接や学術交流などの目的で杨浦区を訪れる際の滞在支援が行われる予定。

近年、上海市ではコンテンツ経済と都市ブランディングを掛け合わせた人材政策が加速しており、杨浦区はその最前線に立っている。

(中国経済新聞)