上海モーターショー開幕 新製品からうかがえる各社の事業計画

2025/04/26 07:30

上海のコンベンションセンターで4月23日、「イノベーションを抱き未来を勝ち取る」をテーマに、21回目となるモーターショーが開幕した。展示面積は36万平方メートル以上で、26の国や地域から1000社近い企業が出展するという過去最大規模のものとなった。

奇瑞汽車の「空飛ぶ自動車」

モーターショーでは各社とも最新の製品や事業計画を発表し、いずれもより安全で高機能、国際化という取り組みが打ち出された。いずれも戦略の中心を反映するものである。

新エネルギー車の普及が進む中国では、安全問題が一段と重視されつつあり、展示内容は安全を軸とした形になっている。

吉利は、50km/hで正面衝突した実験車両の「銀河E5」を披露した。車の前部は破損しているが運転席はほぼ無傷で、ドアも開ける状態である。またボルボは、異例とも言えるCピラーがホウ素含有の鋼である「ロールケージ」状の新型XC90を透明な車体で展示した。

吉利の責任者は会場で、「すべての同業者とバッテリー底部の安全性特許を共有する。消費者や業界内に車両のバッテリー安全デザインや技術検証の体系的なアイデアを示すものだ。また今年、ユニバーサル安全実験センターも完成し、各社に利用してもらう」と発表した。

ボルボ・アジア太平洋エリアの社長兼CEOである袁小林氏は、「1998年の設立以来、安全で健全、サステナブルという価値にこだわってきたことで、市場競争でバリューチェーン全体の健全性を守ってきている」と述べた。

今回のモーターショーのハイライトは高機能化である。開源証券のレポートでは、97種類の新車が披露され、機能面では中国ブランドがトップを走っており、業界のトレンドも加速して外国との合弁メーカーもEVの高機能化に力を入れていると指摘している。この中で運転アシストのレベルアップが差別化の主軸となっている。

また今回は、問界(AITO)のM8や新型のM7、享界(ステラト)S9、尊界(MAEXTRO)S800を披露した鴻蒙智行(HIMA)のブースが大人気だった。ファーウェイの常務取締役でコンシューマーBGの会長である余承東氏と上汽集団の賈健旭社長は、HIMAの5車種目となる「尚界」でスマートコネクテッド、電動化、走行制御、用途別対応などで連携を強化すると発表した。

VWグループは今回のモーターショーに先立ち、中国の複雑で多様な走行状況に合わせて打ち出したハイレベルな運転アシストシステムを発表した。きわめて擬人化され様々な用途で使えるものであり、安全を第一にした運転アシストが味わえるという。商湯絶影(センスオート)は、グローバルモデルと学習強化という2つのコア技術をベースにした生成自動運転の先端技術R-UniADを披露した。また小馬智行(ポニー・エーアイ)は世界初となる7代目の車両規格自動運転ソフト・ハードウェアを発表、さらに7代目Robotaxiシリーズの量産タイプ3車種もすべて披露した。卡爾動力(KargoBot)は「地平線(ホライズン)の『征程6P』とタッグを組み、禾賽科技(ホーサイ・テクノロジー)の最新の(LiDAR)を導入してL4の自動運転トラックに搭載する」と発表している。

VWグループの取締役会長であるオリバー・ブルーメ氏は、「中国は世界の自動車産業で技術改革の担い手であり、VWはこの流れに加わり、推進している。上海モーターショーで取り組みの成果である『納入モデル』を本格スタートした。次世代のスマートコネクテッドカーを武器に中国取引先のデジタル化や高機能化というエコロジーに全面参入していく」と述べた。

また中国勢では、海外進出計画を打ち出してグローバル化をアピールする動きが目立っている。小鵬汽車(Xiaopeng)は、「2025年は60の国や地域に進出する」と発表、また蔚来(NIO)の創業者である李斌氏は「firefly」(蛍火虫)の海外販売計画を披露し、「今年は16か国で発売予定」と述べた。

Xiaopengの関係責任者によると、最近海外で発表した「X9」は購入予約数が予想以上であり、グローバル展開へのめどがついたという。「これからは『X9』をヨーロッパで売り込む以外に、海外の需要をにらんでグローバルカーとのコンセプトで製品ラインナップをさらに改善し、海外展開を加速する」とのことである。

(中国経済新聞)