アメリカで現地時間11月18日、ともに株主からの集団訴訟を主に手掛ける法律事務所のポメランツ(Pomerantz LLP)とLevi & Korsinsky2社が、いずれもホームページで、「株主を代表して、証券詐欺など違法な商業行為の疑いのあるイギリス製薬大手のアストラゼネカの提訴を検討している」と発表した。
これら2社がこのような動きを取ったのは、「中国政府の複数の部門がアストラゼネカの幹部数十人に対して調査に乗り出した」との情報が流れた後の11月5日、アストラゼネカの株価(ADR)が7%以上値下がりし株主に損失が生じたという理由である。
証券の集体訴訟に特化しているポメランツは今回の発表で、「アストラゼネカへの株主を代表して、損害賠償を調査し、会社ならびに幹部や取締役の一部が証券詐欺など違法な商業行為をしていないか調査している」と表明している。
またLevi & Korsinskyも同じく株主向けに、「証券法違反の疑いでアストラゼネカへの調査を始めた」と伝えている。
2社はいずれも、要望を出している株主向けに担当弁護士の連絡先を伝えている。なおアメリカでは集体訴訟をする際、原告の数について特に定めはないが、裁判所側はおおむね20人以上を求める。
アストラゼネカは、株価値下がりの翌日の11月6日にイギリス本社で、株主を集めて中国の幹部の最新情報を説明した。この中で、「『医療保険詐欺』に対する大掛かりな調査は3年前から始まっており、一時は社員100人以上が対象となったが、今の幹部は関わりがない」と表明している。
アストラゼネカはまた、「現在進められている調査は、中国では王磊総裁のほか現職の幹部2人と元幹部2人が対象だ」とも発表した。
一方で、「このような情報の発表が遅れたことで噂が広まり、株価の大幅な下落につながった。賠償金を支払うべきだ」と見る株主も出ている。アストラゼネカの株価は、この1か月で20%も値下がりしている。
(中国経済新聞)