吉利汽車、東南アジア進出を強化 ベトナムで現地合弁の組み立て工場を設立へ

2024/09/26 07:30

ベトナムの自動車サービス会社Tascoは9月24日、中国の民間自動車大手の吉利汽車と合弁で、現地タイビン省に自動車の組み立て工場を運営する企業を設立することで合意したと発表した。投資額はおよそ1.68億ドル(約242億円)で、吉利の出資割合は36%という。工場は当面、年間7.5万台の生産体制とし、Lynk & Coおよび吉利ブランドの各車種を組み立て、将来的には他車種も手掛ける。2025年前半に着工し、2026年初めから納入を始める見込みである。

Tascoと吉利はまた、ベトナムに自動車の研究開発センターを設けることでも合意した。Tascoの傘下企業であるTasco Autoが吉利ブランドの公式販売店となる。

ただし吉利の関係者は、ベトナムへの投資について「今のところ情報はない」と述べている。

吉利はこれまで広範囲で海外展開をしている。中国企業連合会によると、2024年度の製造業上位500社における海外での資産合計額は前年より5.81%増えて7.29兆元(約149兆円)であり、資産額上位10社のうち2社が自動車や部品のメーカーである。吉利ホールディングスは2723億元(約5.57兆円)で4位である。

中国自動車メーカーは積極的に海外進出をしており、特に立地が多いのは東南アジアである。この中で吉利はすでにマレーシアに拠点を設けている。

吉利ホールディングスは2017年、マレーシアのDRB-HICOMの子会社「プロトン」の株式49.9%を買収して本格的に経営参入した上、引き続きプロトンに製品や技術、人材を送り込み、競争力の引き上げに協力している。2023年10月に再びマレーシアDRB-HICOMと事業提携で合意し、2035年までに現地で50万台の生産体制を築いて50%を輸出し、さらに部品100万件分のサプライチェーンを構築して50%を海外に販売することになった。

ベトナムは、東南アジアの中で市場規模はさほど大きくない。現地の自動車製造業協会によると、2024年8月の全販売台数は2万5196台で、前年比ほぼ12%増、前月比13%減であった。また1~8月の合計販売数は前年同期比2%増の18万8997台であった。

中国メーカーはベトナムで現在、奇瑞が「ジェットア」(Jetour)と「OMODA」の2車種を販売している。BYDも進出すると伝えられているが、今のところは未確定である。

(中国経済新聞)