中国歴史ドラマ紹介:尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~

2024/08/12 17:30

明・永楽帝の時代。絶え間なく訪れる使節団をもてなすため、宮中の食事を担う尚食局では新たなる女宮選びが行われていた。厨師になることを夢見る姚子衿(ようしきん)は、持ち前の才能を発揮して見事首位に選ばれるが、司膳から難癖をつけられて下っ端として尚食局入りする。そんなある日、先輩女官に頼まれて、幼い頃から密かに憧れている皇太孫・朱瞻基(しゅせんき)の書斎に食事を届けることになった姚子衿。初めは皇太孫としての体面を保とうと取り澄ましていた朱瞻基だが、彼女の料理の腕前と賢明かつ天真爛漫な姿に心惹かれていく。しかし、姚子衿には秘められた過去のいきさつがあり…。

明の全盛期を築いた宣徳帝と彼に寵愛された女傑・孝恭章(こうきょうしょう)皇后という実在の人物の若かりし頃をモデルにした本作。史実とフィクションを織り交ぜ、皇太孫と女官という身分違いの2人の甘酸っぱい恋模様、そして、野望渦巻く宮中の権力闘争や、尚食局の女官同士の嫉妬、友情といった人間模様がドラマティックに描かれる。

尚食局とは、明代の宮廷に実在した女官六局の一つ。光禄寺(こうろくじ)と呼ばれる官署が食材を、尚膳監(しょうぜんかん)が調理を主に担当し、尚食局は料理の品目や安全を確認し、配膳するまでを担当した。

「尚食」と呼ばれる主席女官は、皇帝の給仕役をつとめ、正六品の高い官位が与えられたという。女官六局には尚食局の他に、尚宮局(総務的な仕事)・尚儀局(礼楽に携わる)・尚服局(衣服に携わる)・尚寝局(居住空間に携わる)・尚功局(工芸に携わる)があった。ドラマでは孟尚食の働きにより、尚食局が宮中の食事づくりまで担うようになっている。

(中国経済新聞)