自動車メーカーの蔚来、飲み物の販売を開始

2024/06/25 07:30

中国の自動車メーカー・蔚来(NIO)は6月18日、上海の各地でカフェ「NIO Café」をオープンし、コーヒーやミックスドリンク、子供向け飲料の販売を始めた。値段は18元~48元(約392元~1046元)で、アメリカンコーヒーはスターバックスのトールサイズの27元(約588円)に近い28元(約610円)である。

ミックスドリンクはやや値が張り、最高で48元(約1046円)である。メニューは店によって異なり、「グレープフルーツソーダ」や、チェリーローズを下味にヨーグルトと牛乳を混ぜてシェーキにした抹茶味の 「南風里」などがある。

蔚来は今回、興業太古匯、万象城、上海センタービルなどで10店舗を開いたが、広州など他の地域でも展開するかは未定という。コーヒーの販売を手掛け始めた目的は明らかにしていない。

競争の激しいコーヒー市場で存在感を示すのは容易ではない。今年はコーヒーブランドが相次ぎ「特価9.9元」(約216円)との特売を実施しており、「価格戦」には加わらないと公言していた世界の大手チェーン店であるスターバックスも、各種のキャンペーンに乗り出している。またラッキンコーヒーやコッティコーヒーなども積極的だ。ラッキンは2023年、中国で、売上高が初めてスターバックスを上回り国内最大のコーヒーチェーン店となり、新規店舗は8034店を数えた。コッティは1年間で6000店以上の規模となり、2023年4-6月は毎月1000店近くオープンさせた。

蔚来はこれまでの異業種進出実績として、2023年に携帯電話事業に参入しており、6499~7499元(約14.1万円~16.3万円)で「NIO Phone」3種類を売り出した。李斌CEOは今年、公開取材でこの分野について、「主要メーカーとは競わず自社の車と接続して利用する形に特化する。また『NIO Phone』のPART2の開発も終えており、発表時期も決定済み」と述べている。

しかし蔚来の異業種進出については、開発やランニングコストに不安が残る。蔚来は2024年第1四半期、売上高は99.1億元(約2160億円)で前年同期比7.2%減、前期比42.1%減であり、損益は51.846億元(約1130億円)の赤字だった。ただし第2四半期に入って販売台数が持ち直しており、今年の納入台数は5月31日現在で515811台、うち4月が15620台、5月が20544台で、着実に増えている様子が分かる。

李CEOは決算報告の電話会議で、「6月から製品構成の見直しに力を入れ、利益の出るものの投入割合を増やし、短期のキャンペーンは控える。総じて言えば、販売量を着実に伸ばした上で利益率を改善することが次のステップの重要な任務だ」と述べている。

(中国経済新聞)