中国のSF作家、劉慈欣による世界的ベストセラー小説「三体」が、中国映画巨匠のチャン・イーモウ(張芸謀)監督によって映画化されることになった。
「三体」は、2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界(中国語版)』で連載され、2008年1月に重慶出版社によって単行本が出版された。
「三体」、「三体II 黒暗森林(THE DARK FOREST)」、「三体III 死神永生(DEATH’S END)」の三部作。地球の人間と異星人・三体星人の交信、生死をかけた戦い、2つの文明の宇宙における発展と衰退を描き出している。
本作は「地球往事」三部作の第一作である、中国において最も人気のあるSF小説の一つとされ、2015年時点で50万組以上を売り上げている。また、本作は2014年11月にケン・リュウによる英訳が出版され、これも複数のSF賞にノミネートされるなど高く評価されている。2019年時点で全世界累計発行部数は2900万部を記録しており[2]、20か国以上の言語で翻訳されている。
日本語版は2019年7月4日に早川書房より発売された。日本語訳は、光吉さくらとワン・チャイの共訳による原書からの翻訳原稿を、英語の翻訳が専門のSF翻訳家である大森望が、著者とケン・リュウの協議により変更の加えられた英訳版とも比較し改稿したものである。
『三体』は、これまで様々なメディアで映像化されてきた。アメリカが制作したNetflixドラマ『三体』は世界中でヒットし、シーズン2&3への更新が決定。さらに、中国のテレビドラマ版は2023年に放映され、今年初めには米Peacockでも配信された。
6月16日、上海国際映画祭のフォーラムで、中国の大手映画スタジオ「光線伝媒」の王長田董事長は、同社と三体宇宙(上海)文化発展有限公司が共同開発する映画「三体(THE THREE-BODY PROBLEM)」のメガホンを、巨匠・張芸謀(チャン・イーモウ)監督が取ることになったと発表した。
チャン・イーモウは、『紅いコーリャン』、『活きる』、『HERO』や『LOVERS』などの監督作で知られ、国内外の映画ファンから愛されている。また、2008年の北京オリンピックでは、開会式と閉会式の演出を手がけた。時代劇コメディー・スリラー『満江紅』は、2023年の中国映画興行収入No.1となった。
(中国経済新聞)