ブランド品を販売する大手のラグジュアリー企業は、2023年度下半期から業績に陰りが見え始め、最新の四半期データでは中国での売上が特に落ち込んでいる。
イギリスのラグジュアリーブランド・Burberryは3月30日までの2024年度決算について、売上高が4%減って29.68億ポンド(約5907億円)で、うちアジア太平洋では17%の大幅減、中でも中国本土は19%の落ち込みとなった。ただし今年度は、上半期は卸売りの売上が約25%減となるが、コスト削減効果で下半期は回復すると予想している。
またイタリアのTod’sは第1四半期、売上高は6.7%減って2.52億ユーロ(約502億円)で、中でも大中華圏が24%の下落であった。ここ数年好調だったGucciも下り坂に向かい始め、親会社であるケリング・グループによると、2024年第1四半期は売上高が前年比11%減、アジア太平洋地域では28%減であった。
また世界最大のラグジュアリー企業であるLVMHは、第1四半期の売上高が前年同期比2%減、アジア(日本を除く)は6%減で、全体に占める割合が36%から33%に減った。
こうしたブランド品の売上実績低下の理由について、まず中国を中心に一部の地域で販売が減少している。中国は、これまでの好調な業績を支えた旺盛な購買力があったが、このところ観光需要が回復したことなどで消費の中身に変化が生じている。LVMHグループによると、中国はアウトバウンド消費が大幅に回復して全体の37 %に達している中、円安など為替変動により日本でブランド品を購入するようになっている。LVMHの日本での実績は、こうした中国人観光客の購入により二桁成長を果たしている。
また、中国人がお金の使い方に慎重になっているのも理由の一つであり、今はアウトレットなど安値のルートでブランド品を購入する人が増えている。Burberry、Tod’s、Gucciなどがすでに中国で大型アウトレット店を構えており、休日ともなると大勢の買い物客で賑わっている。
専門家によると、中国でブランド品が売れなくなっている理由は一つではなく、むやみな値上げや偽物の横行、在庫過多、さらに中国国内の商品の質向上など、複数の要因があるという。今年の後半は、市場の回復が見込まれるも主力ブランド品の独占という状態は薄れ、無名の高級ブランドやデザイナーブランド、国内のクリエイティブ商品などが台頭していく模様である。
(中国経済新聞)