上海でスマートコネクテッドカーなどのデータ国外送信を実施 テスラのデータが世界で活用へ

2024/05/23 11:00

上海の自由貿易試験区にある臨港地域管理委員会は5月17日、中国で初めてデータの国外送受信をする一般データのリストおよび手順を発表した。対象業種はスマートコネクテッドカー、公募ファンド、バイオメディカルで、スマートコネクテッドカーについては製造、開発、アフターサービス、中古車販売の各情報が対象となる。

実施エリア内の企業はこれらの事業案件について、向こう1年間は安全性評価なしに対象データを海外に送信することができる。外国企業の誘致を狙いとするほか、国外とのデータの共有を求めるテスラなどの要望に応えるものである。

今回の発表は、ちょうどテスラのCEOであるマスク氏が訪中した直後に行われた。データの国外送信については先月、マスク氏が中国政府の要人と会談した際に話題に上っており、業界関係者によると、テスラは中国からのデータを使って世界的な自動運転システムを開発する予定という。

関係者の話では、「EVで発生したデータが中国から送信されれば、全自動運転システムを目指す上で意義は大きく、AI運転技術の形成につながる」とのことである。マスク氏は以前に、テスラは単なる自動車会社ではなくAI企業であると強調していた。

またテスラは四半期決算の電話会議で、運転支援機能「FSD」について「どの地域でも順調に稼働できるようだが、特定の国でトレーニングをすれば効果はもっと上がる」と表明している。テスラが今後、自動運転で生成されたデータを国外で処理するか、あるいは中国国内のデータセンターで処理するか、またはそれらを並行実施するかは定かではない。

中国で2021年に「自動車データの安全管理に関する若干の規定(試行)」が発表されてから、先行実施企業となったテスラは中国にデータセンターを設けており、中国で販売した車から生まれたデータはすべて国内で保存している。

テスラは最近、FSDのアルゴリズムをトレーニングするデータセンターの建設を目指しているほか、AIトレーニング用のGPU半導体を購入するなど、中国のデータセンターを拡充する予定と伝えられている。テスラは今、中国では運転補助機能のAutopilotを導入しているが、完全なるFSDは発表していない。この情報についてはテスラもエヌビディアも反応を示していない。

中国では、多くの自動車メーカーが運転補助機能を販売拡大の切り札と見ており、テスラがFSDを導入すれば、中国でEVの競争力を格上げすることになる。

(中国経済新聞)