アメリカ、中国向け半導体輸出規制を強化

2024/04/8 07:30

アメリカ政府は3月29日、中国向け半導体の輸出規制をさらに強化する策を発表した。AI機能を搭載したノートパソコンが新たに規制対象となり、4月4日から実施される。これは去年10月から実施されている規制措置の追加策であり、去年からエヌビディアを初めとする半導体メーカーに対して、中国への最先端AI半導体の輸出の禁止を命じていた。アメリカ商務省は、「中国への技術輸出規制は今後も絶えず更新し、措置を強化する予定」と表明している。

これに対し、中国商務省は「輸出規制の乱用は世界の半導体やその関連企業の正常な貿易を妨げるもので、市場のルールや国際貿易の秩序が著しく損なわれる」と表明した。

AI技術の普及に伴い、2029年にはAI対応型のノートパソコンが全体の95%となって出荷数は2.3億台を超えると見られている。つまりAIが個人のデバイスで広く活用され、通信や生産力、創造力、エンターテインメントが大きく変化していくことになる。

半導体やパソコンの大手メーカーも、このような流れに対応している。クアルコム、HP、デルなどがAI 導入PCを打ち出しているほか、エヌビディアやAMDなど半導体メーカーもAIの活用によるPCの普及の在り方を探っている。

こうした取り組みをしている大きな理由の一つが、大規模言語モデルの進歩である。グーグルは軽量型の大規模言語モデルGemmaを発表しており、AIがノートパソコンで利用されるという新たな時代を切り開いた。複雑な大規模言語モデルをPCで実行するにはまた課題もあるが、それらは技術の進歩で徐々に克服されており、各社ともPCにおけるAIモデルの活用の新たな方法を探っている。

今回のアメリカの規制策強化は、国の安全面を踏まえてのものではあが、世界の経済や技術競争におけるAIの重要性も示されている。AIが進歩を重ね、利用範囲も拡大していく中、AI関連の技術や製品における各国間での連携や競争もさらに活発になりそうである。

(中国経済新聞)