不動産大手の「万科」に対し銀行12社が1.64兆円を融資

2024/03/15 17:00

関係筋によると、中国で商業銀行12社が不動産大手の万科に対し、これから期限を迎える公開市場での債券の償還用として800億元(1.64兆円)にのぼる融資を準備しているという。これら12社は、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国交通銀行、中国郵儲銀行の国有6社と、中国招商銀行、中信銀行、興業銀行、浦発銀行、中国民生銀行、平安銀行の民間6社である。この情報は株式市場に反映し、万科の株や債券が値上がりしている。

中国の不動産界で有数の存在である万科は、かねてから財務の問題や資金繰りに関心が集まっていた。経営を維持するために債券市場を安定させる必要があることから、確実に債券を償還できるように銀行融資から資金を調達する策を選んだのである。

ただし、銀行側は慎重な姿勢である。メディア関係者がこれらの銀行に詳しい人物に取材したところ、「情報は耳にしているが銀行側は今のところ慎重だ。ただし他の要素も念頭に入れると、最終的に実現する可能性もわずかにある」と述べた。また同じくこれらの銀行に詳しい別の関係者は「未定」と述べている。このような姿勢は、現在の経済情勢ならびに銀行自身のリスクコントロールによるものと見られる。

しかし、万科に対する株式市場での期待度は相変わらずである。万科は香港株が終値で10.33%も値上がりし、中国株も 5.71%上昇したほか、債券価格も軒並み上昇している。「20万科08」 「22万科05」などが5%以上、上場子会社である建物管理サービスの「万物雲」は10.03%の値上がりである。

これらは市場における万科への期待の表れであり、また今回の資金獲得策への期待も込められている。銀行側は慎重であるが、万科への信頼に揺るぎはない。市場における万科の地位や安定した経営方針が評価されているようである。

(中国経済新聞)