中国交通運輸省は春節の前に、連休も含めた特別輸送体制の期間中に他地域へ移動する人の数を、過去最高となるのべ90億人と予測していた。
今年の中国の春節、観光については「南北入れ替わり」がキーワードになっている。旅行サイトのトリップドットコムによると、2月7日現在の春節連休中のホテル予約件数について、海南省三亜が去年の1480%増し、雲南省が同1627%増で、今年一番人気となっている黒竜江省ハルビンは実に3349%増であった。人気行楽地の五つ星ホテルの宿泊料は旧正月3日目(2月12日)から5日目(2月14日)が特に高く、連休前の4~5倍となっている所もある。
黒竜江省ハルビン
今年の連休、観光客の動きは「北へ雪見」と「南へ避寒」といった傾向が強い。中でもハルビンは年初から春節にかけて爆発的な人気を維持し、2023年にはベスト10圏外だった人気度が2024年には5位まで浮上、ホテルの予約件数も前年同期の34倍となっている。旅行サイトの同程旅行(LY.com)によると、2月9日夜から2月10日における各地域の観光検索件数について、陝西省西安が前月比294%増、新疆ウイグル自治区カシュガルが同270%増、湖南省長沙が243%増、遼寧省瀋陽が235%増となっている。
また連休中、高級ホテルの宿泊料が高騰している。ハルビンで最高級のホテルである富力リッツカールトンは2月13日、1泊6180元のエグゼクティブスイートルーム以外は満室であった。このホテルは通常期は1泊1231元なので、今回はその402%増しとなったわけである。
北緯23度より南を見ると、広東省恵州大亜湾の海岸リゾート地唯一の五つ星国際ホテル「ルメリディアン小径湾」は、春節前は1泊869元であったが2月12日は3222元/泊となっている。
今年の春節はまた、マイカーなどによる交通渋滞が多発している。海南島を訪れた観光客は島への出入りに一苦労したという。連休の前、広東省の徐聞港から海南島の海口に向かうフェリーの乗船港までの道が数千台の「駐車場」状態となり、100メートル進むのに1時間もかかった。連休中は海口発徐聞港行きのフェリーが每日81本も運航されているが、それでも積み残しが発生している。
海南島三亜
トリップドットコムやフリギーなどの旅行サイトを見ると、連休後半の数日間は三亜から北京、上海、浙江省杭州などに向かう飛行機のエコノミークラスはほぼ満席で、1万元以上もするビジネスクラスでわずかに余席がある程度である。海南島で足止めになっている観光客に対し、SNSでは、三亜から北京や上海経由の便が多い韓国ソウル行きの航空便に乗るようにとのアドバイスが出ている。トランジットでそのまま降りればよく、チケット代はビジネスクラスでも4000元前後という。
(中国経済新聞)