中国の自動車メーカー「長城汽車」は2023年度の決算報告を発表した。ここ1年間の経営の成果や主要な財務指標が示されたものである。
これによると、年間の売上高は前年より26.3%も増えて1734.1億元(約3.58兆円)であり、この主な理由は新型車種の発表や販売事業の改善によるものである。その一方で、株主帰属の純利益は前年比15.2%ダウンの70.1億元(約1446億円)となり、利益面が課題となっている様子が明らかである。この理由は為替変動によるものであって、営業外分を除いた純利益は逆に前年比4.6%増の46.8億元(約965億円)に達している。
また、年間販売台数は15.3%増の123.1万台で、1台当たりの収益は1.2万元(約24.7万円)増の14.1万元(約291万円)であった。この理由は売値の調整や市場の位置づけの変更による。中でも、海外での販売台数は82.5%も増えて31.6万台に達している。
また報告では純利益について、上半期は13.6億元(約281億円)にとどまったが下半期はかなり上向いたと述べられており、この理由は2022年末から手掛けているラインナップや社内組織の調整によるものという。特に、「魏牌」 (WEY)と「坦克」(Tank)、および「欧拉」(ORA)と「沙龍」(Salon)をそれぞれ統一化するなど、ブランドや商品体系の見直しが功を奏している。
長城汽車はまた、新エネ車への取り組みも見ものである。以前は販売台数がトップであったSUVタイプの「ハヴァルH6」が、2022年にBYDの「宋PLUS DM-i」に逆転された。2023年の新エネ車販売台数は前年比98.4%増の26.2万台をマークしたが、全体に占める新エネ車割合は市場全体の30%を下回る21.3%にとどまっている。つまり、成長はしているものの、先行メーカーに差をつけられているのである。
長城汽車は2024年、プラグインハイブリッド(PHEV)とEVの普及へ本格的な取り組みを進める。目標としては販売台数が190万台、純利益が72億元(約1485億円)という。新たな方針は、競争や技術革新に対応するための大きな措置となる。
(中国経済新聞)