テスラは中国での積極的な販売管理戦略により、世界最大の自動車市場で優位に立った。2023年の最初の10カ月間で、テスラとBYDはともに中国のEV(電気自動車)市場でシェアを伸ばし、テスラの市場シェアは2022年の10%から12%に、BYDの市場シェアは21%から27%に上昇した。テスラの1店舗当たりの平均EV販売台数は、2022年の1,300台から1,500台以上に増加したが、BYDの1店舗当たりの販売台数は600台未満だった。しかし、BYDの売れ筋モデルの価格はテスラの半額であり、BYDはテスラの11倍の販売店を持っているため、全体ではテスラよりもはるかに多くの自動車を販売している。
複数の関係者によると、直接販売の先駆者であるテスラは、中国にある314の店舗で2,800人のスタッフを1時間ごとにチェックし評価を行なっている。そして、積極性がないと見なされたスタッフが当日に解雇されることもある。
中国におけるテスラの販売戦略に関する情報は極秘とされているため、これまで報告されたことはなかった。このようなリアルタイムのデータ収集は、テスラの価格戦略に情報を提供し、昨年中国で7回の値上げと3回の値下げにつながったという。テスラはその後、原材料の価格と入手可能性に基づき、費用対効果の高い生産計画を立てることができる。
関係者によると、テスラはライバル企業よりも高い基本給を提示し、優秀なスタッフにはボーナスを含めて月3万元(約61万円)までの収入を認めることで、英語塾や保険などの業界から積極的に従業員を集めている。
中国での業績は好調なテスラだが、BYDなどの競合からのプレッシャーに直面しており、競争力を維持するためには、マージンを見直し、車の値上げ、第2、第3の都市への進出が必要になる可能性がある。一方、世界的な高金利環境と熾烈な市場競争もテスラに課題を突きつけている。アナリストは、テスラは競争環境、特に重要な市場である中国において逆風が強まっていると分析している。
(中国経済新聞)