アリババとテンセント、「独身の日」商戦にらみ提携

2023/10/9 08:30

アリババグループ傘下でインターネット広告を手掛ける「アリママ」は、デジタルマーケティングのアカウントで「テンセント広告」との提携を発表した。Wechatの動画アカウント、モーメンツ、ミニプログラムなどの広告を、アリママのUD効果を利用する形でリリースし、タオバオやTmallのショップ、商品情報、タオバオのライブスタジオにダイレクトアクセスできるようにする。

発表元であるアリママのこのアカウントは、認証会社がタオバオ(中国)ソフトウェアであり、企業情報サイト「天眼査」によると同社は2004年12月設立で資本金6億9121万3261ドル2セント、そして代表者がアリババ傘下の淘天集団の戴珊CEOである。今回のアリママ・テンセント広告の提携で、先ごろ和解したアリババとテンセントの関係がよりタイトになる。

ライバルであるこの両者は2013年から「冷戦」状態に突入していたが、独占禁止の呼びかけを受けて両者の垣根は徐々に緩んでおり。今回の提携では、ともに主力事業の中心を担うテンセント広告とアリママを送り込んだのである。

またこの提携は、一大商戦となる11月11日の「独身の日」を見据えてのものである。両者はこれに向けて、関係事業者を巻き込んだ盛り上がりを目指して、億単位の補助金、膨大なアクセス、様々な権益を用意し、補い合ってモデルを形成し、事業者を支えて「店への誘導、購入・成約、ライブ誘導」により販売目標に向かう。

テンセントの直近の決算を見ると、今年第二季度の売上高は前年比11%増の1492.08億元となっている。このうちインターネット広告の収入は、「618」商戦など季節的な追い風を受けて前年同期比19%増250.03億元であった。この中で、ビデオアカウントの広告収入がネット広告収入全体の12%を占める30億元以上に達している。

テンセントはまた、Eコマースやアパレル、ブランド品などの市場シェアも伸ばしており、今回のアリママとの提携でネット広告事業がさらに上のステップに到達しそうである。

オンライン接続が進む中、ライバル同士がわだかまりを捨てて提携する動きが広まっている。去年3月には搜狐視頻(Sohu TV)が自作映像コンテンツの二次創作分についてTiktokに放映権を付与し、その4か月後にはTiktokなどバイトダンス系の動画アプリが豊富な著作権を抱えるiQIYIと提携して、長尺動画コンテンツの二次創作やPRについて模索していくことになった。さらに今年4月にはテンセント動画とTiktokも対立を解き、長尺・短尺の動画のPRや短尺ものの二次創作などについて提携策を探る予定である。

(中国経済新聞)