「外骨格ロボット」の世界および中国市場の動向と分析

2023/08/17 22:30

人の身体やその機能に力を与えられる「外骨格ロボット」。通常はセンサー、モーター、関節といったウェアラブル機器で構成され、人体の関節の動きを再現し、力になって支えるものである。

外骨格ロボットは、医療分野ではリハビリに用いられ、体の不自由な人の筋肉や運動能力の回復を支える。歩行や階段の上り下りなど、患者の日常活動を支えたり手助けしたりするほか、脊髄損傷や神経系の疾病の治療にも使われる。

軍事面では、兵士に力や持久力を与えて戦う力を引き伸ばす。重い装備を抱えるのに役立つうえ、戦場では物資の搬送や偵察、爆弾の除去といった任務をこなす。そして兵を負傷から守り、常に健康状態のチェックを行う。

工業面では、作業者の肉体的負担を軽減して業務の効率や安全性を引き上げる。重い物を持ったり正しい姿勢を維持したりするのを支え、労働時の損傷や疲れを減らせるうえ、高温や被ばく、化学品など危険な場所での作業にも用いられる。

外骨格ロボット、世界の市場は2025年~2028年に急成長

外骨格ロボットの市場は、世界的に見ればまだ技術の入れ替えや更新の段階にあり、大量生産には至っていない。各国ともリハビリ分野を中心に産業の発展へ支援策が打ち出されるなど、成長環境が与えられているほか、中国でもスタートアップ企業が常に融資を獲得して技術開発に投資しており、人とマシンのインタラクションといった問題を解決し、製品改良を果たしている。

国際研究機関のABIによると、外骨格ロボットはこの10年ほどで急成長し、2028年までに世界的な成長が望めるという。2020年~2030年の外骨格ロボット産業のCAGR(年平均成長率)は33%と見込まれ、中でも2025年~2028年の3年間は年平均47.7%の伸びとなり、世界の市場規模は2028年に58億ドル(8431.5億円)となる。2030年にはほぼ産業化して市場も安定成長し、市場規模は68億ドル(9885億円)となる見込みである。

(中国経済新聞)