燃料車を見限ったBYDがディーゼルエンジン製造会社と手を組む理由は

2023/05/16 11:11

自動車メーカーとして世界で初めて燃料車の生産や販売を廃止したBYDが、中国最大のディーゼルエンジンメーカー「濰柴動力」(WEICHAI)と手を組むことになった。

濰柴動力の公式情報によると、深センで5月12日、王徳成(Wanf Decheng)執行総裁とBYDグループの何竜(He Long)副総裁との間で合弁事業を進める調印式を行った。譚旭光(Tan Xuguang)会長兼CEOと、BYDの王伝福(Wang Chuanfu)会長兼総裁もこれに立ち会ったという。

調印場所は深センであるが、事業は山東省で行われる。双方の契約により、中国での新エネ商用車の産業化を目指し、山東省に車載電池の開発・製造拠点を共同建設するという。

ディーゼルエンジン最大手である濰柴動力は、2010年以降に合わせて40億元(約781億円)をかけて新エネ車の関連事業にも参入している。またカナダの水素燃料電池メーカー「バラード」、イギリスの固体酸化物燃料電池大手「セレスパワー」、スイスの圧縮機メーカー「ジョージフィッシャー」と提携して中国初の水素エンジン大型トラックを製造するなど、燃料電池に力を入れており、EV、ハイブリッドと合わせて3分野への進出を果たしている。

今回のBYDとの提携は、ディーゼルエンジンの製造ではなく車載電池の合弁生産が狙いであることは明らかである。山東省では、濰柴動力は濰坊に新エネ車のエンジン工場を有し、BYDは済南に車載電池、チップおよび完成車の工場を構えるなど、両者とも新エネ車の事業拠点があるので、協力事業を展開する産業基盤が整っていると見られている。

(中国経済新聞)